霞に月の77

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 おそらく組絡みに違いない、工藤と一緒にいる香坂を見たのだろう、と良太は判断した。
 千雪にも同じメッセージを送った。
 これだけの情報で千雪ならすぐに工藤絡みだと察してくれるだろう。
 Copy. take care、と森村から返信が来てすぐ千雪からもラインが入った。
『タクシー? 気をつけろ。加藤らにも連絡した。良太の携帯のGPSを追う』
『首都高に入った。晴海方面』
 良太はできる限り千雪にラインで情報を送った。
『良太の携帯追ってる。加藤』
 加藤からも早速メッセージが届く。
『ちょうど品川で仕事だったから、良太を追う。将太』
『こちら辻。横須賀からかっ飛ばす』
 加藤の仲間の山之上将太と、千雪の高校の同級生で加藤の仲間である辻からもメッセージが入った。
 『猫の手軍団』と称して、加藤から招集が掛かれば動けるものはすぐ動いてくれる。
 相変わらずリアクションが早すぎると、良太は思う。
 工藤が冤罪で警察に拘束された時も、工藤を犯人と決めつけている警察の一歩も二歩も前を行き、真犯人を追い詰めて別の事件まで解決に導いたのは千雪と彼らのお陰だ。
 母親も亡くなっているし工藤は縁を切っているが、中山会の現組長は母親の兄にあたり工藤の伯父になる。
 伯父には娘が一人いるだけで、そのため水面下では数年前から傘下の島本組長を次期中山会組長に据えようとする一派と、若頭の息子を押す芦田組系列の間で低次元の抗争を繰り広げているが、若頭が心臓と糖尿で入院して以来、争いがエスカレートしていた。
 島本組系列は、若頭の息子では心もとないと、芦田組の一派が工藤を担ぎ上げるに違いないという理由で、工藤は既に数回襲われていた。
 工藤を冤罪で葬ろうと下手な小細工をしたのも、島本組関係の輩の仕業だった。
 この事件のみならず連中の余罪まで突き止めたのが頭脳と行動力、千雪と『猫の手軍団』だ。
 良太が工藤の祖母に拉致られた時も素早い動きで良太を連れ戻しに来てくれた。
 今回も組関係の連中が絡んでいるとしか考えられないが、巻き込まれたのが工藤でも俺でもない、無関係な香坂先生だ。
 ほんと冗談じゃない。
 それと以前、千雪と工藤と一緒に打ち合わせをした帰り、千雪を工藤の恋人と勘違いした連中に、千雪が拉致られそうになったことがあったが、その時初めて会ったのが波多野、森村の養父だ。
 グリーンカードを持ち、長年ニューヨークにいたが、おそらく工藤の亡き祖父あたりの命を受けて工藤の影のボディガードとして日本に来た武術の達人だ。
 表向きはMEC電機広報部長が波多野の現在の肩書だが、工藤と仕事上の関係を持つことでいざという時にも近づきやすくするためだろう。
 波多野の養子である森村は現在アルバイトという形で青山プロダクションに所属している。
 森村は日系三世で両親ともに既におらず、小学生の時に波多野の養子となり、武術も波多野に叩き込まれ、高校を卒業すると海軍に入り、ネイビーシールズに所属したが、軍を辞めて大学に進学、卒業して近年波多野のいる日本にやって来た。
 ぱっと見はその辺にいる学生と変わらなく見えるし、良太としては初めての部下のようなもので、よく気が付くしよく動く、頼りになる存在だ。

 


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