「でもよ、その工藤っての殺ったら、女、どうすんだよ」
「顔見られちまってんだ、だから明日船に乗せんだよ」
「ああ、こないだのタイだかフィリピンだかの女らみてぇに、コンテナン中に押し込むのか? 死んじまうぞ」
「その前に女は、入間さんがな」
「キショーメ、ずりぃ、入間さんとか兄貴とか」
「かなりババアじゃん?」
「や、結構いい女だったっすよ」
ゲラゲラ笑う男らの会話を聞きながら、森村は、入間という名前を頭にインプットする。
「にしても、入間さんも遅くね?」
男が一人立ち上がって門の方を見た。
ガレージ横に潜んでいた森村は、辻が山倉と白石も合流したことを全員に知らせてきたのを聞くと、「加藤、俺と事務所の裏へ。千雪、動かないで。ガレージの六人はみんなにまかせた」と指示する。
辻がガレージの外で物音を立てると、「何だ?」と一人ガレージから出てきて暗がりに辻らの方へ近づいてきた。
辻が男を後ろから羽交い絞めにしたところを、山倉が腹に一撃を入れると、男は呻いて地面に転がった。
男が何も言わず戻って来ないのを不審に思ったのだろう、今度は二人ほどが出てきた。
白石と将太に殴られて一人は気絶、「てめえ、誰だ!」と声を上げた男を山倉が蹴り倒した。
残った二人が慌てて飛び出してきたが、ヤクザの下っ端だろうと、場数を踏んできた四人を相手にするには鍛錬が足りなかった。
殴られ、蹴られて呻きながら転がった。
「こっちは終了」
辻が知らせてきた時、森村は秋山からも谷川と近くに来たという連絡を受けた。
「事務所の中にいると思うんですが、中を偵察してきます」
「モリー、気をつけろよ」
谷川と秋山は車を降りて、門の外で待機していた。
辻らが事務所の入り口付近で物音を立て、中にいる男らをおびき出し、その間に森村と加藤が、事務所の裏口から中に侵入するという手はずになっていた。
ところが、その時一台の車が門をくぐって走り込んできた。
「工藤さん!」
秋山が唖然としている前を走り抜けた車から、工藤が降り立った。
物音を聞きつけた赤ら顔が手下を二人従えて、事務所から出てきた。
「招待状を出すんなら時と場所をきちんと書いておけ! 本牧だけで俺が来ると思うとか無能の権化だな」
「ほざけ! てめえが工藤か」
ドラマの演出ならここで双方睨み合いなどという展開にでもするところだが、赤ら顔の問いに答えることもなく工藤はたったか続けた。
「とっとと女とガキを渡せ。こっちは時間がないんだ」
「うるせえ! てめえの………」
何かまだ言おうとした赤ら顔だが、工藤はお構いなく近づいてくる。
「動くな!」
すると今度は、赤ら顔の兄貴分にあたる三原が出てきて拳銃を構えた。
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