風そよぐ148

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 割烹料理といっても、テーブルとカウンターなので意外に入りやすいし、あれから沢村とも行ったことがある。
「宇都宮さんと出かけるの?」
 良太が携帯を切ると、秋山は聞いた。
「ああ、ええ、飲みに行こうって誘われて、そしたら時間が空いたから食事するとこ知らないかって」
 別に何もやましいことはないんだから、と良太は自分に言い聞かせて秋山に話した。
「『麻布住吉』か、美味しいって聞いてるけど、まだ行ったことはないな。あそこなかなか予約取れないんじゃなかった?」
「あ、そっか、土曜日だしダメかもな。前に沢村と行った時、もう一時間前だったんだけど、なんかオーナー料理長の津久井さんがいいよって言ってくださって。きっと工藤さんの行きつけだったからだと思うんですが」
 良太は慌てて店に電話を入れた。
「え、大丈夫ですか? すみません急に、よろしくお願いします」
 電話を切ると、「大丈夫みたいです、よかった」と良太は言った。
「そりゃ、役得だね」
「秋山さんも工藤さんの名前出せば、予約取れるんじゃないですか? ってか、一緒に行きます?」
 俺がついていったらきっと宇都宮に睨まれること必須だって。
 秋山は心の中で良太の科白に突っ込みを入れる。
 アスカの情報が確かでも、どうやら良太は宇都宮をそんな目ではみたことがないらしい。
「いや、残念だけど、今夜はちょっと」
 しかしこれは良太一人で行かせたものか、と秋山は思案する。
「そうですか。俺、『田園』のプロモーションの時、終わってから宇都宮さんにご飯奢られちゃったんですよね、こっちがもたなくちゃいけないはずなのに。今日はちゃんと支払いしないと」
 ご飯奢られた? あらら、これは宇都宮、本気も本気じゃないのか?
「まあ、ああいう大物俳優ともなると奢るってのを断ったりもしづらいもんだよね」
「それはそうなんですよね~」
 良太は接待のつもりらしいが、宇都宮はどうでるかわからないな。

 


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