へえ、まあ、それが仕事だもんな、工藤の。
でも、今朝は朝早い便で京都行ったはずだし。
ほんとは夕べも早いとこ帰りたかったんじゃないのか、工藤。
疲れ、ピークって感じだし。
だが、その時、秋山が言った、本谷、の名前に、良太の中で反応したものがあった。
そうだよ、何か、夕べ、工藤、やけに本谷に優しくしてやっててさ。
意識がなくなるくらい酔っぱらったのは、それが面白くなくてついいい気になって強い酒をガブガブやってしまったからだ。
徐々に、霧が晴れるように、昨日のことが脳裏に舞い戻ってくる。
あの時は、勘違いしているだの言ってたけど、案外、工藤のやつ本谷にほだされてたりして。
とか、思っちゃったんだよな。
ま、俺の杞憂だ、杞憂。
そら、ま、俺がいるからなんて、保証はどこにもないけど、あんな疲労困憊じゃ、そんな余裕はないって。
うん。
『からくれないに』の若いリーマン役は、結局本谷に決まった。
事務所にダメモトで良太が打診したところ、マネージャーは二つ返事でゴーサインを出した。
そうするとほぼキャストは出そろったので、近々打ち合わせをスケジュールに組み込まなくてはならない。
そういえば最近、全国お悩み相談室と化していた良太だが、ここのところ、良太自身が忙しいこともあってか、面倒ごとは持ち込まれてはいない。
『田園』の撮影の方も、思っていた割には面倒ごとも起きないでいる。
このまま、なーんにもなく、滞りなく撮影が終わってほしいものだが、四季を通じての大型ドラマとあって、放映が始まってからも撮影は続き、冬のシーンは十二月の初旬にスケジュールが組まれていてその撮影が終わったところでクランクアップとなる予定だ。
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