アスカのドラマ撮影のあと、レッドデータの制作現場に行き、結局部屋に戻ったのは夜の十時だった。
それでも午前様にならないだけマシだろう。
今日こそはゆっくり風呂につかって、猫たちの相手をしてやろう。
猫たちにご飯をやってから風呂に入り、冷蔵庫から缶ビールを取り出してゴクゴクと飲み、ほっと一息ついて、ようやく良太は少しだけ浮上した気になった。
「『からくれないに』も京都が舞台だっけ」
原作は何度か読み込んだのだが、京都という響きにはそれだけで底知れぬ妖しさを感じてしまう。
京都はそのまま小林千雪につながる。
良太はまだ千雪という人の中に知らない何かがあるように思うのだ。
ビールを飲み干した時、携帯が鳴った。
「何だよ。今日の四のイチってらしくないじゃん」
相手は沢村だった。
関西タイガースの四番を撃つ人気スラッガーだが、リトルリーグの頃から良太のライバル、腐れ縁、悪友でもある。
今日はホームゲームで、西宮のホテルにいるはずだ。
「また、何か厄介ごととかじゃないだろうな」
せっかくお悩み相談室閉鎖状態なのに。
「るせぇな、ほんの、たまーに、んなこともあるんだよ!」
別に厄介ごとがあるわけでもなさそうだが、要は、恋人の佐々木が忙しくて会えない状態が続いているのだろう、そういう時、佐々木に電話できないものだから、箸休めみたいに良太のところに電話をしてくるのだ。
「そういや、またプラグインと仕事やるんだって?」
どうやら佐々木に聞きだしたのだろう。
レッドデータのスポンサーである東洋商事のCFで、やはりプラグインは佐々木に依頼したのだが、そろそろ撮影に入る予定となっている。
「そうそう。佐々木さんも、俺も! 今忙しいの」
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