情報は谷川や小田事務所にも画像などのデータを送り、共有している。
良太たちがいつも以上に目を光らせている中で、撮影は着々と進んだ。
そろそろ工藤、帰ってくる頃だよな。
携帯の時刻は六時になろうとしていた。
ちょうどその時、電話が入った。
「お疲れ様です」
藤堂からで良太は撮影から離れて、電話に出た。
「あれからいろいろ聞いてはみてるんだがこれといってめぼしい情報はなくてね」
「いえ、お手数をお掛けして申し訳ありません」
「またまた。良太ちゃんと俺の仲でそんな他人行儀な」
お茶目な藤堂のにやついている顔が目に浮かび、良太は苦笑する。
「たいした情報ではないんだが、ちょっと要注意人物かなと。吉崎ふみかって知ってる?」
「はあ、すみません、名前と顔が一致しません」
「いや、知らないよな、何年か前にグラビアアイドルで売り出した子なんだけど、ドラマのちょい役とか出てたりしてたのが、あまりぱっとしなくて忘れ去られつつある感じで」
「はあ」
「その子と最近、富田氏がちょくちょく会ってるって」
ぼんやりしていた良太の頭の中が即覚醒した。
「富田さんが?」
富田の顔は藤堂から送られた画像で頭に入れていたが、小宮山の黒幕かも知れないという疑惑はあるものの決め手はない。
「一応彼もプロデューサーだから、ちょい役の女の子と会ってたって不思議はないんだが、ある情報によるとバーでよからぬ話をしていたとか何とか」
「よからぬ話?」
「近くで聞いてたやつも酔ってたから多少はあやふやなんだが」
十分あやふやじゃん、と良太は心の中で呟く。
「ただ、工藤って名前が何回か聞こえて、ぎゃふんと言わせるとか富田が言ってたとかって」
「酔っていてもそれだけ覚えているってことは、確かによからぬ話をしていたのかも知れなませんね」
工藤という名前が何回か出た、というだけでも良太の中で俄然富田への疑惑が深まった。
「とにかくその女の子に何かやらせるつもりかも知れないから、画像、送っとくね」
「ありがとうございます」
「うーん、何かちょっと、富田氏、かなり危なくなってきた気がするから、良太ちゃん、十分気を付けてね」
藤堂にしてはきつい感じの言い方で電話が切れるとすぐ、画像が送られてきた。
顔の造りはくっきりしているが、やはり見たことのない女の子だった。
良太はその画像をすぐに加藤や谷川、小田事務所に送った。
「誰? 良太さんのガールフレンド?」
背後から覗き込むようにしていきなり声が降ってきたので、今度はこの子に何をやらせるつもりだろうなどと考え込んでいた良太は驚いた。
「うわ、天野さん」
いつの間にか休憩に入っていたらしい。
「ごめん、脅かした? 誰?」
「いや、その………」
良太は天野に伝えるかどうか少し躊躇したものの、小宮山の件も天野の情報で分かったこともあり、説明だけしておこうと口を開く。
「ここだけの話、ですよ?」
「もちろん」
「天野さんも、万が一この子が近づいてきたりしたら気を付けて下さい」
「何、要注意人物?」
何だか本物の刑事になりきった険しい眼差しで天野が聞き返した。
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