「え、いいのか? じゃ、そうさしてもらう……あ、あのさ、毛利が泊めてくれるって言うから。うん、遅くにごめん。え? 電話って誰から?」
ドキリ、と元気の心臓がはねる。
もしや豪からか、と思った元気だが、兄からは意外な名前を聞いた。
「古田? うん、じゃ、番号教えて」
間をおかず、毛利が手帖とペンを差し出す。
「……わかった、電話してみる。うん、お休み」
携帯を切ると、何だろう、と思う。
古田といえばみっちゃんしか考えられない。
みっちゃんが、わざわざ兄貴のうちまで電話くれて、一体何の用だろう。
やはり、その幻のギタリスト云々のことだろうか。
って、どうして俺が兄貴のとこにいるってわかったんだ? わざわざうちに電話したんだろうか。
とにかく気になって、今度は携帯でみっちゃんの番号にかける。
「あ、みっちゃん、電話くれたって?」
「よう、こっち来てるんだって? 今、どこだ?」
すぐにみっちゃんが聞いてきた。
「ああ、今、披露宴の二次会終わって、将清や優作と飲みに行くとこで…」
「どこだ? 俺もそっち行く」
「何で?」
相手がみっちゃんだと、つい何か裏があるのではないかと、元気はつい身構えてしまう。
「お前、将清や優作とは会ってるくせに、俺には会えないって?」
みっちゃんはすかさず突っ込みを入れてくる。
「わかったよ。えっと、西麻布の『アクア』って店」
「アクア、だな」
携帯を切って、はあ、と元気はため息をつく。
どうもみっちゃんにはかなわない。
「誰?」
毛利が聞いてくる。
「ああ……、みっちゃん。こっちに来てるのに挨拶もなしかよ、ってさ」
「何、まだ、GENKIとわだかまってんの?」
「何だよ、それ……」
まあ、いっか。
GENKIとはわだかまりたくないと思ってるんだが、その幻のなんちゃらってのも気になるしな。
豪……、やっぱあの女と一緒なのかな……。
ああもう、クッソ、今夜は飲んでやる!
元気はイラつきながら窓の外に広がる夜の街に目をやった。
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