「ほんで、学生を使ってこそこそ窃盗やパパ活なんかやらせているのが、さっきのもう一人のオッサンや」
「……何か、段々、その通りだって気がしてきました。ってことは、駐車場、気を付けてた方がいいってこと?」
「せやな。帰りは各々好きな時に帰ってもらうことになっとるし……」
「行きますか?」
「よし」
良太が工藤を振り返ると、理香と藤田と穏やかに談笑しているといった感じだった。
そう言えば、紫紀さんに誰か紹介してもらうとか言ってたな。
ま、工藤さんがいればいっか。
良太は千雪に続いてこそっと駐車場に出た。
ここの駐車場はまた広いのだ。
駐車場じゃなくても、車を停めるところはあるし、二十台程が、しかもどれも高級車らしき車ばかりが並べられているのは壮観だ。
客が帰る時は、車までスタッフが案内をして帰ってもらうことになっている。
もっとも、取締役クラスは迎えが来るから車の盗難だのは関係ないだろう。
「でも学生バイト、公一さんの後輩って言ってませんでした?」
「ああ、後輩は二人くらいであとはその二人が呼んだみたいや」
「そうか、じゃあ、ひょっとしてよく知らなかったりするわけ?」
「せやな」
二人は駐車場の方に行くと、木陰に隠れた。
「俺、あんまり木陰とかいややねん。蛾、とかいてるし」
千雪が恐る恐るあたりを見回した。
「え、俺もあんまりバタバタやられるのはすきじゃないです」
「バタバタとかいうなや! ゾゾっとするし」
「じゃ、ゴキとかもダメ?」
「見たら寝られへん。やから、ゾゾっとするよってやめや」
千雪はかゆくもない手の甲を掻く。
「あ、誰か来た」
「あれは、田口くんや。公一さんの後輩の」
田口が年配のおそらく夫妻だろう二人を案内してきた。
「ん? 私の車はどこだ?」
男性が聞いた。
「え、確かここだと」
田口は慌てて、手にしていた駐車場のボードを見ながら確認するが、どうやらないらしい。
「お客様、白のベンツでございますね? Sクラスの」
田口は片っ端から見ていくが、どこにも白のベンツがないようだ。
「千雪さん、あれ、ひょっとして」
「やりよったな」
千雪はだが平然としている。
「どうします?」
「恐れ入ります。少し中でお待ちいただけますか? どこか別の場所に置いたのかも知れません」
田口が丁重にそう説明すると、ムッとした顔をして男性とその妻はまた中に戻っていく。
その時、千雪の携帯が鳴った。
「おう、どないした? うん、そうか、わかった。そいつしばらく見張っときや」
「千雪さん?」
良太は訝し気に尋ねた。
「こういうこともあるかと思て、ダチに外を張らせとったんや」
「え?」
「捕まえたて、今」
「捕まえた???」
良太が驚いているうちに、千雪は京助を呼び出した。
やがて京助が二人のところへ現れた。
「ここで警察沙汰はまずいやろし、誠が仲間と車追っていきよって、捕まえたらしいで」
「クッソ、あのガキ、村野と小谷がつるんでるって?」
京助が吐き捨てるように言った。
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