「いや、俺はお客ってほどでも。ひょっとして警察行ったんですか? 知り合いが捕まえたって?」
良太は聞いた。
「ああ、ダチとその仲間、まあ、ちょっとバイクのテクがある連中四、五人で車追って、のっとった男二人、引き摺りだして、捕まえたて」
「バイクだけじゃなくて腕っぷしも強いとか?」
「らしいな。一人、ITにメチャ強いやつがおって、そいつの言うには、コードグラバーとかいうンを使うて、スマートキーの電波を読みこんで車盗むんやて」
「うわ、すげえスキル」
「まあな。どうやらキーを返すのに時間かかったのは村野がキーの電波を読ませよったかららしわ」
千雪は険しい表情で言った。
「ダチが捕まえたオッサン、昼に見たやつらしけど、村野には車の窃盗に加担させて、小谷とか女の子何人かにはパパ活と称して引っ掛けた男から金を巻き上げさせよったみたいや」
「ひえ………。でも俺も、金のためにパパ活もどきやってえらい目にあったからな。他人事じゃない気がする」
良太はしみじみと言った。
すると千雪が笑った。
「そやったな、会社の前でボロボロになっとったもんな」
「笑いごとじゃないっすよ」
良太はムッとする。
「けど、ええ薬になったんちゃう?」
「いや、でも、俺、工藤さんに助けられてなかったら、あいつらと同じ道辿っていたかも」
憮然として良太は言った。
「どやろ、良太は自分から逃げ出したわけやから、そうはなってないやろ? それに良太なら、工藤さんやのうても別の誰かが助けてくれてたって」
「それ、楽観過ぎ」
良太は苦笑する。
「事実やで。お前、芯がしっかりしとるよって、やつらみたく落ちたりせえへんて」
「まあ、俺のことはいいですけど、車、お客さんに返してしまっていいんですか?」
「この屋敷から盗んだ車の他に何台か盗んで保管しよった場所を、ダチが突き止めたよって、ええんや。パーティの最中に綾小路で騒ぎは起こしとうないから、警察にどうしてもて言われたら、明日にでも代わりの車差し出せばええ」
千雪は気楽そうなことを言う。
「はあ、白のベンツとかあるんですか?」
「ダチがディーラーやってんね。大抵の車は用意でけるみたいや」
「ほんとですか? 千雪さん、いろんなご友人がいらっしゃるんですね」
「車、必要な時はいつでも紹介したるで」
「はあ、今んとこ、仕事で乗りまくってるし、自分の車とかはいいです」
良太は心から遠慮した。
「まあ、ジャガーは良太の車みたいなもんやしな?」
「いや、別にそういうわけじゃ………」
からかいを含んだ千雪の言葉に、良太は口ごもる。
「いずれにせよ、紫紀さんにはパーティが終わってから報告しとかなあかんな」
「はあ」
良太はとりあえず、工藤に何も言わずに動いていたので、それこそ報告に戻ろうと、談話室を出た。
工藤は少し移動していたが、やはり紫紀と一緒で、今度は誰か別の二人と話していた。
理香も藤田もそこにはいなかった。
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