「キャストは有名どころが出演されるんでしょうか?」
渡良瀬は聞いた。
「まだ正式には決まっていないようですが、先生が推しておられる俳優さんはどなたでもご存じの方になるのではと思いますが」
「なるほど」
にっこりと渡良瀬は笑った。
「あら、良太ちゃん、探したのよ~」
そこへフラッと現れたのは理香だった。
「急にどこかへ行っちゃうんだもの。ねえ、あの陽成院流の若先生、お茶会とか行かないのかしら? あまりお見掛けしないのよね」
「佐々木先生のことですか? 普段はクリエイターをされているので、お茶会とかは滅多に参加されないかと思いますよ」
良太は浜村らにちょっと頭を下げて、仕方なく理香の相手をする。
「なあんだ、残念。秋の浜離宮のお茶会、あたし、お花を生けることになってるのよ。だから佐々木先生、いらっしゃらないかしらと思ったのに」
「時間が合えばとは思いますけど、先生にお話してみましょうか?」
「え、お願いできる?」
「お話だけですよ? 佐々木さん、芸術には造詣が深い方ですから、お花もお好きだと思いますけど、何せお忙しいので」
一応、そう念を押す。
「いいわ。良太ちゃんにお任せする」
理香はどれだけ飲んだのか、ふらっとしたところを良太がちょっと腕を支えた。
言葉はまともだが、スキー合宿の時のことを思い返すと、酒豪らの一人だった。
「理香さん、飲み過ぎじゃないですか? 足元ふらついてますよ?」
「あら、大丈夫よ、これしき」
はあ、とため息をついた良太は、「すみません、田口さん」とたまたま近くにいた田口を呼んだ。
「申し訳ありません、理香さんをちょっと中で休ませて差し上げてください。あと、お水をお願いします」
こそっと囁いて、理香を田口に任せた。
「君も、俳優志望? いいセンいってるわよ」
理香は田口に腕を取られながら、奥へと入っていった。
良太はホッとして、工藤のもとに戻る。
「勅使河原流の理香さんともお親しいんですね?」
またしても渡良瀬が良太に突っ込んでくる。
「はい、工藤が以前仕事でご一緒させていただいたので」
良太は勝手に理香に聞いた工藤の話をくっつけて言い訳する。
この人何を言わせたいんだ?
「ちょっと聞こえてしまったんですが、佐々木先生というと、クリエイターの佐々木周平氏のことでしょうか?」
「はい、よく仕事でご一緒させていただいております」
おっと今度はそっちかよ。
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