逢いたい7

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「女子高生っても卒業前の三年生から女子大生になるって設定だからな」
 坂口が一人頷く。
「にしたって、女子高生、十八歳と俺四十二歳が恋愛しちゃっていいんですかね、下手すると援交?」
「だから君なんだよ。ほかの四十二歳じゃ、ほんとに援交オヤジにしか見えないだろ」
「しかし二十代相手でも宇宙人って気がするのに、十代っていったいどういう生物なんだか」
 首を傾げながら宇都宮は手酌で冷酒をグラスに注ぐ。
「あっと、ここにも二十代がいたっけ。だよな? ああ、文句を言ってるわけじゃないんだ、オヤジには若い子が理解できないってこと」
 宇都宮は目の前の良太に気遣いを見せる。
「オヤジとか全然程遠いですよ、宇都宮さん」
 良太は慌てて強調した。
「俊治、こないだまでピチピチの二十代とつき合ってじゃねぇか? もう別れたのか? 第一、君のファンにも女子高生、中学生だっているだろ」
 坂口が宇都宮を揶揄する。
「別れましたよ、だから俺には宇宙人だったんですって、俺自分がどんだけオヤジかっていやってほど再認識させられましたから。それにファンの子とリアルにつき合う相手とは違いますからね」
 そういえばと、工藤と山之辺芽久のことが取りざたされていた頃、この宇都宮俊治も恋人と別れた云々で大々的にマスコミに騒がれていたのを良太は思い出した。
 相手は宇都宮とドラマで共演した美人女優尾花沢菜美二十六歳だったはずだ。
 確か前にアスカが可愛いのにキュートだという彼女と比べられて嫌がっていたな。
「だったらあれだ、うまい具合に郷里だし、高校生に戻ったつもりでやればいいのさ」
 適当なことを言いながら、坂口は宇都宮のグラスに冷酒を注ぐ。
「戻れるもんならね。それに俺、こう見えて高校球児だったんですよ、甲子園目指してた。地区大会でとっとと敗退したけどね」
「え、宇都宮さん、野球やってたんですか? 俺も大学までずっと野球ばっかやってたんです」
 野球と聞いたら良太も口を挟まずにはいられない。
「同士じゃんか。だから、パワスポやってるんだ? ポジションは? 俺はピッチャーだった」
「え、俺もです。直球しか投げない直球バカってキャッチャーに怒られてました」
「俺はフォークを改良して消える魔球の特訓してたな」
「……消える魔球ですか?」
 良太はちょっと恐る恐る宇都宮の顔を窺う。
「あ、何か今、小ばかにしたような眼で見たな」
「え、そんなことはありませんよ」
 宇都宮に指摘されて、あたらずともな良太は慌てて訂正した。
「まあ、いいさ、俺の子どもの頃に流行ったマンガがあってさ」
 すっかり野球で意気投合状態の二人を横目に、坂口は空になった工藤のグラスに冷酒を注ぐ。
「何だ、えらく今夜は静かじゃねぇか」
「疲れてるんですよ。分単位で日本中を駆けずり回ってるんで」
「ふん、お前さんの方は、何とかってぇモデルとよりを戻したんだって?」
 疲れているところへその話題は工藤にとって否定するのも億劫なものだった。
「あんなものはあの女の事務所が仕掛けた売名行為だ」
 途端に工藤の眉間に深く皺が刻まれる。
 良太の前では極力持ち出したくない話題なのだ。
 案の定、ちらっと工藤の方を見た良太と目が合ったが、良太はすぐ目をそらす。

 


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