夏霞11

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 冬のスキー合宿の時には、良太いわく、佐々木に逢いたいがためにトラベルミステリーのごとくタイムテーブルを駆使して、宮崎からわざわざ軽井沢までやってきたのだ。
 全く無茶しおってからに!
 逢いたいと思ってくれるのは正直嬉しいのだが、時折そういう突拍子もないことをやってくれる。
 心配しない方がおかしいというものだ。
 ちょうど二時間ほど走り、少し休憩を取ったあと、それでも車がいよいよ大阪に近づくと、佐々木の中の高揚感も自然と上がってくる。
 沢村と会うの、二週間ぶりか?
「やっぱ暑そう」
 そんな佐々木の心も知らず、良太がピーカンの空を見上げて言った。
「まず、大阪に着いたら食事だよね」
 藤堂が楽しそうにのたまった。
 阪神高速を走っていた車はやがて湾岸舞洲の出口へと進む。
 そこからいくつか橋を渡り、着いたのは大阪港北マリーナだった。
「ここのレストラン、いいんだよ、眺めもね」
 眼前に広がる海を見ながらの食事に佐々木も良太も大満足だ。
「何か、大阪ってイメージ、変わった、俺」
 美味しいカレーを平らげた良太がしみじみと口にする。
「俺、言葉はオカンやさわののお陰で関西風やのに、ほとんど知らんもんな、大阪も京都も」
 佐々木もぽつりとそんなことを呟いた。
「まあ、もちょと大阪見てみようよ」
 それから藤堂は車で万博記念公園へと向かった。
「賑わしいところより、自然公園の方が癒しになると思ったんだけど」
 ちょうどひまわりフェスタが開催され、一面ひまわりが夏を謳歌していた。
「やっぱ、暑いね。オッサンには堪える突き刺さる陽ざし」
「いや、若者やったらこのくらい平気かもやけどね~、厳しいわ」
 藤堂と佐々木の弱音に、「何、年よりみたいなこと言ってんすか」と良太が言い放つ。
「野球少年の良太ちゃんには、この程度の陽ざし、へのかっぱかもしれないけど」
「ああ、木陰があった……」
 二人は木陰のベンチに早速座る。
「俺だって、最近、夜中の生活してましたからね」
 良太も追随して、ベンチに腰を降ろす。

 


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