夏霞12

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「こないだの能登も四時起きで頑張りましたもんね」
「大自然がひらめきを呼ぶかもですよ、クリエイターとしてはこのくらい………」
 藤堂はブツブツと言っているが、いつもの藤堂の覇気がない。
「そろそろ大自然に親しむのを切り上げて、ホテルに向かいませんか? 何なら俺運転しましょうか?」
 良太がちょっと無理をしている気がする藤堂に提案した。
「何のこれしき」
 藤堂はえいやーと立ち上がり、お疲れ気味な三名は大阪探索をそのあたりで切り上げてホテルへと向かった。
「ひえ、なんか超ラグジュアリー過ぎません?」
 部屋はツインデラックスといったところか。
 良太はドアを開けるなり声を上げた。
 三人の部屋は藤堂、良太、佐々木の順に階があがっていった。
 佐々木はチェックインした藤堂に渡されたキーカードの番号の部屋を開けた途端、入るのを一瞬躊躇した。
「………仕事やろ? こんな部屋で二晩も………」
 とりあえず、パソコンの入ったバッグをリビングのソファに置いて、窓際に歩みよる。
 大阪の街も遠くの山々まで見渡せる眺望。
 夕食は七時だから、それまでゆっくりしよう。
 まあ、藤堂も河崎も富豪の御曹司らしいし、部屋を選択する基準が違うのかも知れない。
 今さら何を言っても仕方がない、ゆっくりさせてもらおうと、佐々木はバスルームに湯を張った。
「こんなん、二人でももったいないやろ。庶民の俺には贅沢過ぎるわ」
 独り言をつぶやきつつ、パソコンを立ち上げる。
 CMはストーリーの本数分、制作が予定されているのだが、アディノのウエアを着用した沢村のジョギングシーンは、なるべく自然な作り込まない雰囲気を出すために、また、実際沢村のトレーニングでもあり、それを邪魔しないために、カメラワークを駆使して、これまでに幾度か東京で撮影されている。

 


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