これは美味いだのイマイチだの言いながら、ミーティングとは名ばかりの朝食を終え、コーヒーや紅茶で一息ついた四人は、十時半頃にはホテルを出てスタジオに向かうことになった。
「佐々木さんは俺の車で行けばいいだろ」
頑として聞かなそうな沢村の発言に、藤堂もまた佐々木も反対する理由もなく、沢村は藤堂の車の後ろに自分の車をつけた。
ところが、シートに座った途端、不意打ちでキスされた佐々木は、唇が離れてからしばし言葉がなかった。
「……時と場所を考え!」
大体、部屋を出る時も朝からエロいキスをされて、身体から力が抜けてそうになった佐々木はようやく沢村を押し戻したのだ。
「仕事なんかしたくない」
「アホか!」
言うに事欠いてふざけたことを口にする沢村を突き放して部屋を出た。
その上またこれだ。
怖いのは昨夜、散々に沢村に翻弄された身体が、下手をすると持っていかれそうになってしまうことだ。
しっかりせえ!
仕事モードに切り替えないとと、佐々木は自分を叱咤して、「車、はよ、出せ」と言い放ち、フロントガラスを睨み付けた。
「仕事終わったら、東京帰るんだよな」
「当たり前や」
言外に、オールスターのゲームくらい、見ていけばいいのに、という沢村の想いを、佐々木も察しないではなかった。
「明日は、別の仕事で夕方からまたロケに出かけなあかんのや」
一応、それだけは口にした。
帰りたくて帰るわけではないことだけは伝えたかった。
こちらも我儘なタレントのスケジュールの都合で、休日返上で午後から那須高原に向かわねばならないのだ。
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