「なるほど、良太ちゃんの言う通りかも」
頷く佐々木を「ちょ、佐々木さんまで」と沢村は振り返る。
「いろんなパターン撮っておこうよ、ね、北川さん」
ディレクターは、そりゃもちろん、と笑った。
みっちりと話し合いを重ねながら撮影は夜七時頃まで続いた。
あらかた必要なカットは撮り終えたところで終了となった。
「沢村さん、今度ぜひ、一席設けさせていただきたいんですが」
帰り際、小菅が沢村に申し出た。
「ぜひ、佐々木さんや藤堂さん、広瀬さんもご一緒に」
「はあ、それはまた広瀬の方にでもご連絡いただいた時に」
にこりともせずに沢村は答えた。
その難しい顔には、そんなもん、誰が行くか、と書いてあるような気がした良太は、小菅の佐々木への視線に気がついたのかも、とひやひやした。
「ではそのようにさせていただきます」
小菅と太田は、沢村がスタジオを後にするまで、九十度のお辞儀のまま見送った。
藤堂が良太を乗せて沢村の車に続き、制作スタッフのバンがそのあとに駐車場を出た。
「美味しい串揚げ屋があるんだ。これからどう? 二人で」
ハンドルを切りながら藤堂が言った。
「え? 二人でですか?」
良太は聞き返してから、ああ、と理解した。
「佐々木さんに、あとはフリーだからって電話してやってよ」
「了解」
沢村は一応ホテルに向かおうとしていたが、佐々木が良太からの連絡内容を伝えると、「え、じゃあ、これからこっちで借りてるうちに行こうよ」と言う。
「明日こっちを何時に出るんだ」
「九時の予定やけど」
「じゃあ、それまでに佐々木さんをホテルに送ればいいだろ?」
「せえけど、部屋取ってもろてるんやで?」
「かまわないだろ」
沢村の我儘発言に、佐々木は眉を寄せる。
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