夏霞42

back  next  top  Novels


 風呂に浸かる時間も惜しくて、沢村はバスタオルでざっと髪を拭くと、バスローブを羽織って寝室に戻る。
「先に飲んでてもよかったのに」
「ああ……」
 疲れているらしい佐々木は無防備に沢村を見上げた。
 それがまた沢村の中でかっと火をつけてしまった。
 辛うじて白のワインを取り上げ、コルクを抜くと、グラスに注ぎ分け、その一つをゴクゴクと飲み干した。
 佐々木は緩慢な仕草でグラスを取り、口に持っていく。
 一口二口飲んでからグラスを離した佐々木の手の上から沢村がそのまま握る。
「ゴメン、俺もう、だめだ」
「え……」
 辛うじて佐々木からグラスを取り上げてテーブルの上に置くと、次には佐々木をベッドに押し付けていた。
 キスを繰り返しながら佐々木の肌を露わにして嬲る。
 欲情して互いの間で沢村のものがとっくに滾っている。
「ゴメン、もう、限界…」
 苦し気に呟く沢村を佐々木は抱きしめた。
「アホやな、今さら謝るとかないやろ……はよ、トモ……」
 耳元で佐々木のそんな声に囁かれたら、沢村が駆り立てられないはずがない。
 佐々木の身体は少し触れるだけで熱を持ち、洩れる吐息の甘さに、沢村はさらに翻弄されて昂り、佐々木の中へと押し入ると幾度も揺すりあげながらさらに奥へと突いた。
「あっ…あっ……」
 言葉にならない喘ぎが佐々木の唇をついて出る。
 こうして愛されている今は、沢村は佐々木だけを求めているのだと。
 佐々木は自分の中で荒ぶる沢村に与えられる強烈な快感をひたすら享受する。
「……トモ……トモ…!」
 そう呼ばれると沢村は俄かに狂暴になる己をもう制御できず、佐々木を追い上げる。
 ひと際艶めいた声とともに締め付けられると、沢村も佐々木の中で果てた。
 少し息が落ち着いてくると、目を閉じたまま動かない佐々木に唇を寄せ、沢村はまたしても欲望のままに身体を蹂躙したことにせめてキスを落とした。

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村