カーテンが開けられるとベッドに居ながらにしてパノラマな眺望が目に入ってきた。
もう朝か。
起きなければと思いつつも身体が言うことを聞かない。
「七時になるけど、ぎりぎりまで寝てる?」
佐々木を見下ろした沢村はシャワーを浴びたらしくバスタオル一枚腰に巻いているだけだ。
「いや、起きる……」
佐々木は何とか身体を起こした。
もう一度窓の向こうを見ると、曇っているようだ。
だが曇っていてもおそらく蒸し暑いのは必須だ。
「せや、部屋に置いている荷物も取ってこなあかんし……」
ぼんやりベッドの上で数分が過ぎる。
緩慢に腕を伸ばして足元からバスローブを取ると、佐々木は申し訳のように羽織ってベッドを降りた。
今更裸なのが恥ずかしいとかではないが、こんなガラス張りの部屋ではどうも気になってしまう。
髪を濡らすと乾かすのに時間がかかるので、ゴムで結わえてまとめてからシャワーを浴びる。
あらためてバスルームを見回しても、女の気配はなさそうだが。
思い出したように佐々木はそんなことを思う。
嫉妬の渦は小さくなってどこかに隠れているようだが、消えてしまったわけではない。
ただ、今の沢村との関係でそんなことは口にすべきことではない。
ああ、けど、多分、ハウスキーパーが掃除してるわな。
ああ、もうええ!
いたらいたでしゃあないやん。
若いし、パワーは半端ないんやし。
昨夜風呂に入る前に洗濯機に放り込んでおいたシャツやパンツはもう乾いていた。
取り出してそそくさと着ると、バスルームを出た。
「今、何時や?」
沢村は既にしっかり身だしなみも整えていた。
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