エレベータが開いて、二人は佐々木の部屋へと向かう。
「何、それだけ?」
不服そうな声を聞いて佐々木はまた苦笑する。
「仕事やろ?」
カードキーで部屋に入ると、佐々木はパソコンや衣類などの入ったバッグを手に持った。
「それだけ?」
「ああ」
たったか部屋を出ようとした佐々木は、背後から沢村に抱きすくめられた。
「おい………」
さらに首筋に唇をつけられて、佐々木の身体の奥がぞくりと震える。
佐々木の肩からバッグが滑り落ちそうになるのを沢村が受け止めて足元に降ろした。
「こら、やめ……」
抗う声は振り向かされて塞がれる唇に掻き消える。
幾度もついばみ、深く重なったキスは佐々木の理性をとばしそうになる。
「…もう……時間……」
流されそうになるのを辛うじて佐々木は最後の一歩で踏みとどまった。
あとで一人で新幹線で帰ると言えば藤堂や良太も別に何も言わないかもしれない。
だが、結局同じことだ。
別れの時間がいずれ来る。
「くっそ……!」
すると沢村は思い切り佐々木を抱きしめた。
「次は東京で逢えるんやろ?」
せめてもの慰めで、佐々木はそんなことを言った。
ようやく佐々木を抱きしめていた腕を緩めると、沢村は佐々木の潤んだ目を覗き込んだ。
「はあ……」
この先二週間ほどホームゲームや名古屋のゲームが続く。
次に東京に戻れるのは二十五日だ。
それもゲームが終わってすぐに東京に向かえばの話だが。
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