「ほんっとここだけの話ですけど、有吉さん、俺と市川さんの仲を勘ぐって、わざとこれ見よがしに載せたみたいで」
「というと?」
「市川さんももう隠してないみたいだからいっか、ってのは、二人幼馴染でいろいろあったけど今付き合ってるんです」
「あらら、そういうこと?」
市川、という名前が耳に入ってくると、佐々木は良太の方を見た。
パワスポの局アナだと、沢村が言っていた。
その局アナは誰かとつきあっているらしい、そんなことで佐々木はふと安堵している自分を嗤う。
沢村とどうこうなる可能性は少ないというだけなのに。
ほんま、こういうんをやきがまわったいうんやな。
沢村のほんのちょっとしたことで、一喜一憂している。
せや、さっきの……。
これで一週間はヌケる………あとの一週間はそれをオカズに……。
真顔で言いよってからに!
腹が立つ反面、ならば女の存在もないということだろうかなどと、佐々木は考えてから、一人また顔を赤くする。
撮ったて、何を撮りよったんや、あいつ!
寝てるとことか、勝手に………。
いや、ほんまは何でもええんや。
いずれは別れるとはわかっていても、それで一分一秒でも長く沢村が自分のことを思っていてくれるのであれば。
ああもう、支離滅裂やな。
こんなん、三十男の恋煩いとか、あり得へん。
せえけど、いざ、沢村と別れるいうことになったら、俺、ほんまに、立っていられへん。
また同じことを心の中で繰り返す。
次の別れは、考えたくもないくらいきつく、深く堪えるだろうと思う。
俺に浮上できる力があるんやろか。
クソ、やからいややったんや。
沢村だとわかった時に、ムリにでも終わらせておけばよかったと思うのとは裏腹に、沢村を恋しがって逢いたがっている自分がどんどん大きくなる。
ほんま、ラビリンスや。
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