好きなのに 105

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 ゆらゆらと運ばれた佐々木の身体がおろされたのはベッドの上だった。
 沢村は邪魔な服を脱ぎ捨てて再び佐々木に覆いかぶさった。
 幾度目か身体を繋げ、佐々木を喘がせながら、またそれが沢村の中の欲情を刺激して、何度抱いても抱きつくせないくらい脳髄を溶かしていく。
 脚を持ち上げて佐々木の中に押し入っていく。
「……あっあっ…あっ……」
 腰を動かしながら佐々木に色めいた声をあげさせる。
 さらに一度身体を離し、今度は佐々木をうつ伏せにしてから再び中へと押し入った。
「……ああっ……!!」  
 佐々木が身体を震わせる。
 沢村は存分に貪りつくしたその身体を思うさま抱きしめた。
 最後に沢村を受け入れて、佐々木は甘い疼きにとろけながら深い意識の底に沈んでいった。
 切れ切れの意識の中で、鍛え上げられた大きな男の腕に抱かれて何の違和感もなく安堵している自分に気づいた。
 身体も無論心もこのまどろみなしではいられなくなっている。
 失うことなどもう考えられない。
 痛みすら伴った焦燥感に襲われ、佐々木は沢村に身体を摺り寄せた。

 

 綾小路の別荘の厨房に佐々木が顔を出したのは朝六時を少し回ったところだった。
「おはようございます」
 佐々木を見ると、キャベツやブロッコッリーやらとソーセージのスープを作っていた京助が声をかけてきた。
「おう、今日はいいぞ。俺らでやるし」
「今日東京に帰るので、やりますよ。すみません、夕べお騒がせして」
「んなこた、気にしなくていい。どうせ酔っ払いばっかだったしな」
 おはようございます、と挨拶をしただけで、こちらは和食用に味噌汁の出しを取っている研二は相変わらず寡黙だ。


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