ACT 7
あくる朝はたまに小雪が舞うものの、青空が広がっていた。
佐々木は良太や浩輔と一緒にまた別のスキー場に出向き、午後二時頃まで思い切りスキーを満喫して別荘に戻ってきた。
「ほんっとに、佐々木さん、スキーになると別人なんだもんな、ハンパないって言うか」
スキーを別荘の中へ運び入れながら、良太が言った。
「そうそう、俺も始めてスキー一緒に行った時はびびったもん。行けー、浩輔ぇ! とかって」
浩輔が同調する後ろから、「こらこら、人を鬼みたいに言わんといてくれ」と佐々木がやってくる。
「こうのんびりした休暇は久しぶりやな」
「平日だからそんな混んでなかったし、みんなが働いている時に思いっきり遊ぶのって、何か最初気が引けたけど」
「良太ちゃん、貧乏性やで。もっと羽伸ばしたらええ」
「はい~、そうですよね」
続いて三田村と研二、千雪がスキーを抱えて入ってきた。
佐々木たちとスキー場で一緒になったのだ。
「ほんまや、下界に戻るの、いややなぁ」
「お前なんか、リーマンの悲哀なんかわかれへんやろ、作家様やもんな」
ぼやいた千雪に三田村が文句を言う。
「お前こそ、でけたかてかかってくる電話の恐怖なんか知らんやろ」