何となくクリスマス!8

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「わ、ケーキも美味そう!」
 和洋折衷のクリスマスディナーを堪能したあと、食器をシンクに持って行ってから、良太は冷蔵庫を開けた。
 定番中の定番、大きなショートケーキがガラスのカバー越しに鎮座しているのが見える。
「工藤さん、ケーキどうします? やっぱやめときます?」
 良太が言った。
 コーヒーを入れようと立ち上がった工藤はしばし考えてから、「ひと口食うから後はお前が食べればいい」と言った。
「了解です~」
 良太はいそいそとカバーがかぶせられた大きな皿ごとケーキを取り出すと、皿に二つ取り分けた。
 二人きりのホワイトクリスマスとか、まず工藤と良太に限ってあり得ないシチュエーションに、この流れで行くと、やっぱプレゼントだよな、と心の中で呟いた。
 前田さんの店に今年もボトルは入れてもらったけど、それ以外にクリスマスに工藤にプレゼントとかやったことなかったよな。
 工藤にはクリスマスプレゼント、かどうかはわからないが、部屋を一気に模様替えされたりしたことがあったし、ボトルを入れる以外に何かやろうかな、なんて良太も思ったりしたのだ。
 そんな時、どうやらソフィと付き合いが続いているらしい森村に、プレゼントをどうしようと良太や鈴木さんは相談を受けた。
 鈴木さんの提案で、テディベアが好きだというソフィに、森村はテディベアをプレゼントすることにしたようだ。
「花と一緒に持っていこ」
 日本人だと、カップルでも花をプレゼントするのは躊躇いを感じたりするものだが、森村はそこのところアメリカ人だった。
 まあ、中には沢村のように周りなど一切お構いなしな男もいるが。
 森村に刺激されて工藤にプレゼントしてみようか、などと思った良太だが、果たして何をと考えるとさっぱりわからない。
 バレンタインデーは、日本ではチョコレートという申し訳がくっついているので、母親から送られたブランデーケーキに、工藤がいつもしているのによく似たサングラスを思い切って添えて送ったりしたのだが。
「千雪さん、クリスマスに何をプレゼントするんですか?」
 たまたまドラマの打ち合わせに現れた小林千雪をつかまえて、良太はこそっと聞いてみた。
「プレゼント? ああ、せやな、小夜ねえの小さい子には、小夜ねえに欲しがってるもん聞いといて買うたり?」
「え、大人は?」
「小夜ねえには大抵好きそうなワインと花と、研二に特注してクリスマスの菓子作ってもろたりかな」
「ってか、京助さんには?」
 わざと外したことを言ってるのかと思うような答えにイラついて良太はズバリ聞いた。
「京助にってか?」
 すると千雪はうーんと考え込んだ挙句、「考えたら京助にはいろいろもろてるけど、俺から何かプレゼントした記憶とか、ないなあ」
 思わず良太はため息を吐いた。
 その答えではっきり京助と千雪の間のバランスがわかるというものだ。
 さすがに少しは京助に同情してしまう。
 すると千雪はクスリと笑う。
「なんや、工藤さんに、何をプレゼントしようか悩んどるわけやね?」
 笑われて良太はムッとしながら「そうですよ。いつもお歳暮にボトルをキープしてはいるんですけど」と白状した。

 


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