良太はまた一つ溜息をついて立ち上がった。
「あのさ、しばらくお前、心の赴くまま過ごしてみれば? 無理やり自主トレやって、また怪我なんかした日には目も当てられねー」
沢村はリュックを背負い直している良太の腕を掴んだ。
「帰るな」
「猫が待ってんだよ」
「明日車で送ってやる」
良太が帰ったら、一人という静寂が否が応でも襲う。
きつい。
次には良太をベッドに引き倒していた。
「わーかったから、離せっ! この、へっぽこ四番打者! いってぇ………!」
俯せの状態で、背中のリュックに入っているタブレットや資料やらに圧し潰されそうだった良太は不承不承身体を起こすとリュックを肩から下ろした。
携帯を見ると夜中の二時を表示している。
帰っても、工藤のやつもやっぱり帰ってませんでしたって、そんなとこだろう。
携帯にも何も入ってなかった。
ああもう、ちょっと俺も限界。
一応ご飯をあげてから出てきたし。
わりぃ、チビたち……。
「おい、良太、寝たのか?」
沢村はもう寝息を立てている良太の髪を掻き回した。
「ちぇ……ガキみたいな面しやがって」
ガキは俺もか。
俺なんか、ほんと、生きてくだけでも難しいってのに。
恋とか愛とかなんて、ほんと、もうわからねぇよ。
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