好きだから133

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 浩輔は気が気ではない。
 もしまた修正が入るとかになったとしても、佐々木をこれ以上酷使させたくないのだが。
「うわ、直ちゃん、それ何杯目? 大丈夫?」
 気づくと直子はもらってきた焼酎をロックでごくごくと空けている。
「美味しいよ、これ」
 今日は黒の複雑なレースがポイントの膝丈のスリットの入ったタイトのワンピース、ハイヒールに髪は縦ロール、大人可愛いビスクドールな雰囲気だが、へらっと笑って空になったグラスを掲げて見せた。
「そうだ、悠ちゃんたち、上のギャラリーで来月下旬に三人展やるんだ。何かみんな気合入っててさ」
「そうなんだ、佐々木ちゃんにも言っとかなくちゃ」
 直子がしっかと拳を握る。
「うん。案内状もちゃんと出すけどね」
「俺も行くから。あっと、そろそろ帰らないと。猫たち待ってるし」
「あ、あたしも。明日は仕事だし」
 良太が言うのに、直子も追随した。
 時刻は夜中の一時を回ろうとしていた。
「そっか。お疲れ様」
 浩輔に暇を告げて、二人は一緒に玄関に向かう。
「少しは楽しんでもらえたかな。はい、メリークリスマス」
 出がけに藤堂が二人にプレゼントの入った袋を渡した。
「ありがとう! 藤堂ちゃん、メリークリスマス!」
 エレベーターの中で、二人はほぼ同時に溜息をついた。
「なーんか、去年は佐々木ちゃんも沢村っちもいたのにさ」
「だねぇ。佐々木さんに何か聞いてる?」
 良太が聞いたのは沢村とのことだ。
「ううん、なーんにも。沢村っち、今日は何してるの?」
「いや、連絡してない。クリスマスの予定とかなんか聞きづらいし」
 えらく落ち込んでいたから、明日あたり連絡を入れてみるか、と良太は思う。
 また、部屋で飲んだくれてんじゃないだろうな。
 強い北風が舞う夜だが、星が見える程空は高かった。
 二人は一緒にタクシーに乗り込むと、乃木坂で降りた良太はタクシーチケットを直子に渡し、お休みを言った。

 


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