好きだから99

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「もとはといえば、飯島家の結婚式をハワイでなんてとんでもないとか、あんたんちのオフクロ様が言うからでしょ」
「かおりのお母さんも今時神前の結婚式なんてかび臭いとか言うからまたバトルっちゃったんじゃないか」
「ハイハイ、そこまでね。結婚するのはお前ら二人なんだから、二人で決めたらいいんじゃね?」
 放っておくと延々続きそうなバトルに、良太は水を差すつもりで口を挟んだ。
「それができればとっくにやってる!」
「口出すなって言ってもオヤ、口出してくるのよ!」
 二人ともが今度は良太に歯をむく。
 エキサイトしそうな会話に沢村が割り込んだ。
「え、何、二人、結婚すんの? めでたい話じゃん、いつ?」
「ゴールデンウイークなんだけど」
 と肇は言うが、「の予定、あくまでも」とかおりが付け加えた。
「だから式は近親者だけでハワイで上げて、披露宴は横浜でやろうっていってるだろ?」
「重そうなカツラつけたりしてダッサダサな披露宴とか、いやだから。立食パーティとかならまだしも、着物なんか絶対着ないし」
「いや、こいつら、隣町どうしで中学は別だったけど、実際は数軒しか離れてないご近所でさ、その辺の地主の肇んちと海外生活長かったかおりんちで互いの親が干渉してくるらしくて」
 またぞろ言い争いを始めたかおりと肇をよそに、良太がかいつまんで沢村に説明した。
「なるほどね。けどうるさいくらいならまだいいってもんさ」
 確かに多かれ少なかれそれぞれ親や家の事情があるものなのだが、沢村の家の事情はまた面倒なんだと良太は改めて思う。
「披露宴やれよ。んで、俺も招待しろよ」
 能天気そうに沢村は言った。
「俺、披露宴ってやつ、いっぺん行ってみたい」
「沢村くんなら豪華な披露宴いろいろ出てるんじゃないの」
「残念ながら学生ん時から俺、嫌われもんでダチいねぇから誰も呼んでくれねえの。うち関係は関わりたくねぇから野球を盾に行ったことねぇし」
「何言ってんだよ、ガキの頃からスター様だったくせ」
 肇が皮肉交じりに言い返す。
「バーカ、金持ちで成績トップで、四番打って打率トップで周りを見下してる俺様と友達になろうなんてやつがいるかよ。俺に取り入って俺のバックに用があるやつくらいだ」
 自虐的な話を自慢気な口調で沢村は断言する。
「んなの、えばって言うことかよ!」
 良太は呆れた顔で沢村を見た。
「っせえ! だから、かおりちゃん、俺も呼んで? 披露宴」
「そりゃ、いいけど」
「着物、似合うんじゃねーの? カツラとかやらなくても、着物くらい着たらみんな喜ぶんじゃね?」
 ついでのように沢村に言われて、かおりはちょっとまんざらでもないという顔になった。
「そう、かな」
「そうだよ、着物ってさ、別人かって感じに雰囲気変わるからな。あのアスカさんでさえ、正月に着物で現れた時は誰だよって思ったし」
「あのアスカさんが着物って、なんか想像つかねぇな」
 良太の話に沢村は苦笑いした。
「いやだ、そういえば、あれ、どういうことよ? 沢村くん、アスカさんと結婚間近とかって記事」
 かおりが思い出したように、沢村に問い詰める。
「ああ、あれ、ガセだから」
 途端、沢村のトーンが急落する。


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