いつだって思ってる。
このオヤジは俺なんかで満足してんのかとか。
どこまでも俺はあんたにとってガキなんだ。
クッソ、だけど今夜は離してやんないからな!
ザマ見やがれ!
良太は心の中で毒づいた。
執拗な口づけにやがて頭の中から理性が飛び、酒のお陰で程よく弛緩した良太の身体は工藤に操られて蕩け、工藤を深く受け入れる。
工藤にしがみつき、ひたすら工藤を甘受し、幾度となく上り詰める。
「はあ……んん……っ」
悲鳴のような声をあげる良太の濡れた眼差しは十二分に工藤を刺激する。
「良太…」
耳元で名を呼ぶと、工藤は己も果てた。
「…くど…」
吐息のように良太の唇が動く。
工藤はゆっくりキスを落としながら愛おし気にその身体を抱きしめた。
アラームの音にむくりと起き上った良太は、しばらくぼんやりと見慣れない部屋の状況を把握しようとしていた。
ようやく昨夜のことがフラッシュバックのように一気に脳裏に舞い戻った。
「え、工藤………はもういっちゃったのか」
朝からMBCで会議があると言っていた。
枕元には良太の携帯が置いてあり、良太は慌ててそれを取り上げた。
時刻は八時を過ぎようとしていた。
クリーニングされた良太のスーツ他一式は既にクローゼットにあった。
バタバタとバスルームに飛び込むとざっとシャワーを浴び、身なりを整えているとチャイムが鳴った。
「お食事をご用意いたしました」
ドアを開けるとスタッフがワゴンを押して入ってきた。
東京中を見渡せそうなダイニングテーブルに用意された贅沢な朝食を一人で食べるのはちょっと寂しい気がしたが、湯気があがるスープ、ポーチドエッグやベーコン、フルーツ、ジュース、何種類かのパン、バターにジャムなどを見れば、どんな感慨も吹っ飛ぶというものだ。
あらかた食べ終わってコーヒーを一口のんだところで、工藤はまた朝飯すっ飛ばしやがったな、などと思う。
「何だよ。俺起こして一緒にご飯食べればよかったんじゃん」
少しでも良太を寝させてやろうという計らいかもしれないが、どちらかというと一緒に食べた方がいいに決まっている。
天気予報を確認するまでもなく、見渡した東京の空は晴れている。
「いっけね、のたのたしてられないんだってばよ!」
千代田線で約十五分、ここからだと三十分あれば乃木坂だ。
テーブルに置かれたリュックを取り上げようとしたその時、良太は傍らに置いてある小さな紙袋に気がついた。
「え、何これ」
まさかと思いつつ袋から取り出したものは、ブランド物のカフスだ。
星型のモチーフが可愛いぞ。
「何だよ………工藤……ってば…」
一応、今年も、前田さんの店にお歳暮のボトルキープしてもらったけどさ。
「急にらしくないことすんなよな」
何だか胸の奥辺りが熱くなった良太だった。
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