小学生の間から、「すげぇ」と歓声があがる。
「やってみるか?」
少年が尋ねると、小学生が「やるやる」「俺も」と少年の元に走り寄る。
そのようすをしばらく見つめていたが、勝浩は思わずベンチに近づいていく。
かばんと一緒に無造作に置いてある黒いコート。
ようやく、少年が誰であるか思い当たった。
長谷川幸也だ。
忘れもしない、小学生の時、城島志央と一緒に勝浩に散々悪ふざけをした上級生。
子供のくせにやけに大人びて見えた。
「近頃の先生は何を教えてる、だって、笑わせるよ。いじめっ子はお前じゃないか!」
だが、その日のことが、何故か心に残った。
それから時折、塾への道すがら、その公園を通るたびに、子供たちと遊ぶ幸也を見ることがあった。
あとになってわかったのだが、志央がお習字にいっている間、幸也はそこで時間をつぶしていたらしい。
子供たちと一緒に無心に遊ぶ幸也が清々しく、子供たちは彼に懐いて、彼の教えることに素直に頷いていた。
とてもいい人だと思っていたのに、その人の嫌なところを見つけるとがっかりすることがあるが、何てひどい人だ、と思っていた相手のいいところを偶然見つけたりすると、それがひどくすばらしいことのように思えてしまう。
勝浩があれほど嫌っていた陵雲学園高校を受験したのは、その公園での幸也を見た、それが理由。
再び会ってみると、志央との悪ガキコンビはエスカレートしていて、生徒会長と副会長という名前の裏でやりたい放題。
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