「藤堂ちゃん、こないだはごちそうさま~」
「はいはい~」
「そだ、藤堂ちゃん、来年早々、奈々ちゃんのCMやるでしょ? 『ロンド』のチョコケーキ、期待してるからねぇ~」
「ほいほ~い」
にこにことお姉さま方にも藤堂はのん気に答えている。
『サンタ藤堂』の名は伊達ではない。
幼い頃クリスチャンの母親に連れられて、施設を慰問してプレゼントを配っていた母親を見ていた経験から、プレゼントをあげて人の喜ぶ顔が好きなのだという。
スタイリストやメイクのお姉さま方だけでなく、誰にでも公平だから『藤堂ちゃん』はあちこちで好かれているらしい。
「河崎はいつも出張で申し訳ないです。三浦はちょっと遅れますがお邪魔すると思います」
藤堂の隣でまだ大学生でも通りそうなベビーフェイスの浩輔が言った。
浩輔も三浦も河崎や藤堂と同じく元英報堂の社員だ。
プラグインはこの四人からなる代理店で、少数精鋭と言えば聞こえはいいが、青山プロダクションに負けず劣らずそれぞれがフル回転のようだ。
「相変わらずお忙しそうですね。わざわざお越しいただいてありがとうございます」
ドア口の受付ではたった今入ってきた二、三人を迎えて客も一段落したらしく、鈴木さんと小笠原のマネージャーを務める真中が一息ついているのが見えた。
「あ、友成君、今しがた入ってこられたお客様にグラスをお願いします」
通りかかったホールスタッフの一人を捕まえて、良太はすかさず指示を出す。
ホールスタッフのアルバイトは五人は確保できたのだが、予想以上に客の数が多く、良太は会場全体に目を配りながら、ケータリング会社から派遣された俄か給仕たちが用意するバイキング形式の料理の出具合をチェックしたり、うるさ型の客を迎えて挨拶したりと、フロア内を右往左往する。
秋山やアスカがホスト役を引き受けてくれただけでなく、仕事が空いた小笠原や真中に加え、青山プロダクションファミリーともいえる小野万里子や俊一が駆けつけて、良太の手の届かないところをフォロウしてくれている。
しばらくして撮影が終わったばかりの志村がマネージャーの小杉を引き連れて現れた。
ドラマの撮影でいない奈々とそのマネージャーの谷川を除いて総動員である。
タレントも社員もなく動かざるを得ないのがこの青山プロダクションだ。
ざっくばらんで人当たりのいい小笠原は、結構業者の間では評判がよかったりもする。
ビンゴゲームが終わると、良太はふうっと大きな息をついた。
会の運営を工藤に任されているからには、手落ちのないよう首尾よく終わらせなくてはならない。
自然に肩に力が入る。
「こりゃまた、盛況だな、おい」
かなり時間も押した頃になって下柳がスタッフ一同引き連れて現れた。
「ヤギさん、みなさん、忙しいのにありがとうございます」
良太は編集作業をしているスタジオから駆けつけたカメラマンの葛西をはじめ、石川や村井に頭を下げる。
「時間が時間だしな、もう食いもんも酒もあんまし残ってないんじゃねーの?」
「すみません、十分とはいえませんし冷めたかも……。ヤギさんの好きな焼酎は用意してありますよ」
良太は申し訳なさそうに言った。
「何の! 冷えてようが食いもんさえありつければ」
村井や葛西は早速料理が残るテーブルへと突進する。
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