「今の撤回! お願い、拭いて! 千雪ちゃん」
熱が下がったと同時に、すっかりいつもの京助が戻ってきたようだ。
ムスッとした顔のまま、千雪は京助の背中をタオルで拭く。
「なーんか、いいな、このシチュエーション。千雪ちゃん、ついでに前も拭いてよ。下の方とか」
もう一枚のタオルで首やら胸の辺りを拭いていた京助が調子に乗って言う。
「……ざけんな! 後は自分でやれ!」
タオルを京助に投げつけて、立ち去ろうとした千雪だが、その足を京助の手ががしっと掴む。
「ちょ、何や! 離せ!」
「もうダメだ、俺」
「はあ?」
千雪は自分を見上げる京助を睨みつける。
「千雪ちゃんが珍しいことしてくれるから、俺の息子がのっぴきならないことになっちまってる」
「…………!!! アホか! んなもん、自分で何とかせえ!!!」
振り切ろうとして上げた千雪の足をすくい、京助は倒れ込んだ千雪をそのまま背中からTシャツを掴んで引っ張り込み、うつ伏せに組み敷いた。
「冗談だろ? 二人きりで、布団の上で」
千雪に拒絶され、距離を置かれて、しかも工藤などという男に千雪を取られ、京助の中で抑え付けていたものが千雪への恋情と共にここで一気に噴出した。
「やめ……!! この、エロ野郎!! 風邪引いてるから思て、優しうしたったら、つけ上がりよって! 離せて!」
千雪は京助の手から這い出そうとして、逆にパンツを取られる。
「この状況で、無理に決まってるだろ」
おどけた台詞を言い放ち、京助は色悪のような笑みを浮かべる。
息を荒げて力ずくで千雪の動きを封じ、京助はその身体をひたすら弄った。
「……ああっ、っもう! やめ………」
腰を持ち上げられて、千雪は最後のあがきで逃れようと抵抗してみるが、京助は許さない。
身体を繋いで、揺さぶりながら千雪に声を上げさせる。
「京助……きょ……あっあっ………!」
千雪の声が次第に甘くなる。
京助はこれまでさわらせてもらえなかっただけ、さらにその身体を責める。
激情の波が引いても、京助は千雪の髪をかき回し、身体を弄りながら、唇をつけた。
「………人を何やと思うてるのや! 俺は抱き人形やない!」
動く気力さえ失せて、千雪は目を閉じたまま、自分を離そうとしない京助に悔し紛れの言葉をぶつけた。
「こんな俺にしたのはお前だろうが!!」
いきなり京助が耳元で怒鳴る。
「いっそここで暮らすか、な? 二人で」
唐突な京助の言葉に千雪は耳を疑った。
「何、アホなこと」
「いいだろ? 俺もバカだった。よくわかったぜ、昔遊んでた女になんか同情してる間があったら、お前を抱いてろってな」
顔を向けると、ギラギラと感情をむき出しにした京助の目に出くわした。
「金輪際、俺はお前以外見ないし、お前をどこの誰にだって渡さねぇ。お前はここで小説でも何でも書けばいい。ずっとお前の世話をして暮らすってのもいいかもな」
「京助、熱でアタマまでイカレたんか?」
呆れて千雪は溜息をつく。
「フン、ああ、とっくにイカレてるさ。今頃わかったのか? こうやって捕まえてねぇと、千雪ちゃんはすぐどっかへ逃げ出したがるからな」
「お前のはただの執着や。何でそこまで俺に執着するんや」
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