花を追い2

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 確かに旅費から何から金がかかるし、その前に、タレントのスケジュールを合わせること自体難しく、良太も有吉に白旗をあげるのは悔しかったが仕方ないかと思っていた。
 ところが、たまたま監修の打診で内野に会いに行ったところ、内野は北極圏からアフリカまで何度となく歩いていて、監修なら自分の目で見たいのだが、と言い出したのだ。
 早速工藤や下柳に話すと、むしろ願ってもないということで、四月末の二度目のアフリカ行きに同行してもらうことになった。
 今日はランチを兼ねたその打ち合わせで十一時半過ぎの予定である。
「じゃ、俺、行ってきます」
「行ってらっしゃい、気をつけてね」
 良太はバッグにタブレットを放り込み、キーを掴んでオフィスを出た。
 首都高に乗ってしばし走ると、中央道に入る。
 二月に車検がすんだ今年七年目のジャガーは社長の工藤の車だが、最近はほぼ良太専用車となっている。
 大学進学が決まった春に免許は取ったものの、四年の時、父親が保証人倒れで一家離散の憂き目に合い、中古だが当時持っていた愛車は即手放さざるを得ず、自分の車は未だに持っていない良太だが、仕事でこれだけ運転していれば、自分の車を持ちたいなどと思うこともない。
 むしろ、工藤は自由に使えと言ってくれているのだが、休みにまであえて車を使いたいとも思わないし、その必要性もあまりない。
 元来運転が嫌いではないから、今日のように快晴な日は、遠出のドライブも気分転換にはなるというものだが。
 澄み切った空の青さとは真逆に良太の頭の中は色々なモヤモヤで霞がかかっている状況だった。
 厄介ごとは一つ終わったかと思うとまたどこかから別のものが湧いて出る。
 まあ、厄介ごとと片付けるにははばかられるかもしれないが、一つはリトルリーグからのライバルにして悪友、関西タイガースの沢村を起用したCMの企画が大手アパレルメーカーから浮上したことだ。
 しかもどうやら当初英報堂に話が行ったはずが、何と打診された沢村がプラグインでならとか何とか言ったために、コンペになったのだという。
 しかもである。あろうことか、
「マネジメントを俺に依頼したいとかぬかしやがって!」
 とついつい運転しながら声を大にしたいことになったのである。
「そんなこと、お前の弁護士に頼めよ!」
 と携帯で怒鳴りつけた良太に、
「あの人はアスリート関連の案件で手一杯の弁護士で、業界にも疎い」
 とか、またぬかした沢村のその弁護士が会社にやってきて、正式に依頼をしていった。
 たまたま会社にいて、てっきりそんなものお断りするだろうと思っていた工藤が何と快諾したから、また工藤と良太の間でもひと悶着あったのはいうまでもない。
「大体坂口さんのドラマだって、NBCの創設六十周年記念番組で、制作はNBCメインになってんのに、ほぼこっちに丸投げって何だよ! まあ、制作会議で坂口さんと工藤が並んで睨みをきかせてたら、NBCの制作プロデューサーもオマカセしますって言いたくなるのもわからないでもないけどさっ!」
 それだけならまだしもなのだ。

 


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