恋ってウソだろ?!23

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    ACT 2
 
 
 十一月にしては比較的温かい朝である。
 大和屋の自社ビルの一室では、社長を始め大和屋の主要な関係者が顔を揃え、年明け早々の展示会について、佐々木と浩輔のプレゼンが始まろうとしていた。
 日本橋で二百年も前から暖簾を守ってきた老舗の呉服屋「大和屋」も、昨今着物離れという言葉があるように、一時の勢いはなくなっている。
 高額な着物はどうしても必要なものとはいえないし、冠婚葬祭で一度きりしか着ないならレンタルで充分だと考える方が合理的だ。
 とはいえ、日本人ならできれば一枚くらいと考える人も未だ多く、何より着物の美しさに魅せられた愛好家の中には、金に糸目はつけないという者もいる。
「今回の展示会は、大和屋にとっても一大イベントになります。ターゲットはそういった愛好家が筆頭ではあるものの、日本画家が直接描いたものや、アーティストたちのデザインを元に染められたもの、織りや染めなど、一つ一つを芸術作品として、着物の美しさを純粋に見てもらいたいというのが趣旨でもあります」
 プロジェクトの説明をする広報部長岩永は五十代半ば、親の代から大和屋に入り、今は社長の一人娘、小夜子の後ろ盾となり、大和屋の土台を支えている。
 一人娘の小夜子が、いくら相手が財界の重鎮、東洋グループの総帥一族とはいえ、綾小路に嫁ぐことには、最初大反対をしたのも岩永だった。
 ただ、大和屋の仕事に携わることを理解し、尚且つ必要とあらばバックアップもします、という綾小路紫紀の熱意に大和屋側が負けて、小夜子は綾小路の姓を名乗ることになったのだが、それは案外功を奏し、大和屋は一時のかなりきつい状況から脱することができた。
 小夜子は嫁いだ後も大和屋の取締役に名を連ね、広報担当として実家の事業にも携わっている。
 楚々とした、風に吹かれればしおれてしまいそうな雰囲気からは想像がつかない芯の強さと、加えて天然な性分は何者をも恐れないところもあり、その美貌も手伝ってか財界にも一目置かれるようになった小夜子は、綾小路と大和屋双方にとって、今やなくてはならない存在となっている。
 その小夜子が、今回の展示会の発案者だ。
 早世した日本画家、原夏緒の展覧会が数ヵ月後に予定されているが、原夏緒は太和屋社長である小夜子の父俊一郎の妹にあたる。
 改めてその作品に触れたことも今回、彼女を動かした要因になっていた。
 展示会には、原夏緒の絵をデザインに使った作品も発表されることになっている。
「着物ショーは女優の中川アスカ、南澤奈々氏をメインに考えておりますが、ここでメンズ着物への注目度をあげるために、男性モデルだけでなく、文化人やスポーツ界などからもご協力を仰ごうと考えています。リストアップした中から数名の方にに参加していただき……」
 ベビーフェイスで年齢より若く見られるのを気にしている浩輔だが、今日はスーツに身を固め、年配の社員たちを前に、よどみなく話を進めていく。

 


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