恋ってウソだろ?!43

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「佐々木ちゃん、ちょっとだけテレビ見ていい? どうしても見たい番組があって」
「かまへんよ。ついでにオンエアされてるCM、チェックしてて」
 佐々木はコーヒーを持ってパソコンの前に戻った。
「何かおもろいもんやんの?」
「うん、あの人、滅多にトーク番組みたいなの出ないんだけど、珍しく出るっていうから。多分、佐々木ちゃん知らないと思うんだけどさ」
 直子がテレビをつけたので、静かなオフィスに軽やかな音が流れ始める。
 その時、直子の携帯が鳴った。
「ママ? どうしたの? え? 何? 今忙しいんだけど……」
 直子は携帯を持って足早にキッチンの方に行ってしまった。
 その間に、テレビではトーク番組が始まったようだった。
 平日の昼に放映されている三十分の帯番組で、大物芸能人が司会を務めている。
 直子の好きな芸能人が出るのだろうか、佐々木はパソコンに向かったまま、流れてくる音を何気なく聞いていた。
 司会者がゲストを紹介していたが、名前は聞き流した。
『はじめまして、よろしくお願いします』
 その声には、どこかで聞き覚えがあった。
 テレビを振り返った佐々木は立ち上がり、画面を凝視した。
『なかなかテレビに出てもらえない方だと聞いてたんで、出ていただいてありがとうございます』
『いえ』
『大きいですね、身長、どのくらいあります?』
『一九〇ちょいです』
『古谷さんからの伝言で、「何でも出来すぎで可愛くないと思っていたら、そうでもないことがわかって安心した」って、あらゆる面で出来すぎですよね。お父上はかの有名な朝日産業の代表取締役でお母様のご実家は三友産業の創始者? 御曹司ですよね』
『いや、ごく普通の男です』
 頭が真っ白になるという経験は未だかつてなかった。
 佐々木は画面から目を逸らすことができなかった。
『御曹司もいろいろいますからね~、こっそり会社のお金で豪遊したりするんですか?』
『しません』
 司会者の冗談半分の問いかけにもにこりともせずにきっぱりと答える。
『ですよね~。啓應を主席で卒業!』
『周りが勉強しなかっただけじゃないですか?』
 こんな男にしれっと口にされるとカチンとくる輩は多そうだ。
『なるほど~、しかもこのルックスですからね~、言い寄る女を切っては捨て切っては捨て……』
『寄ってきませんよ、仏頂面なんで』
『何をおっしゃる、女子アナの間では人気NO.1、その理由が、なびかないところ? ハハ。で、古谷さんの話だと、土曜日、遅刻して古谷さんに怒鳴られたとか?』
『いや、先週末、金土日と宮崎でファンイベントがありまして、古谷さんもいらしたんですが、土曜日、遅刻じゃなくて、ギリで間に合ったんです。それに、古谷さんは怒鳴ったりしませんよ』
 淡々とトークが続いていく。
「……ウソ……トモ?」
 佐々木はようやく画面の中の男を見つめながらその名前を呟いた。

 


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