恋ってウソだろ?!82

back  next  top  Novels


「あ、いや、……せやなくて……ちょっと事情あって」
 歯切れが悪い佐々木の返事にも、よかったと、浩輔のほっとしたようすが伝わってくる。
「だって、バッグも携帯もジャケットも置きっぱなしだったから、もう何があったかって心配で。あ、俺預かってますから、またオフィスに届けます。こっちは無事滞りなく終わりましたから、ご心配なく」
「ああ、ええよ、俺が取りに行く。悪いな、心配かけて……ってより、ほんま、すまん、仕事中に……」
「いえ、だって、佐々木さん、俺にやれって言ってたのにやっぱ頼りなくて、忙しいのにわざわざ来てくれたんでしょ? あ、でも、沢村さんが佐々木さん追いかけるみたいに出てっちゃって戻ってこられなかったんで、また、時間取っていただかないと…」
「あ、ああ、わかった。すまんかったな、浩輔……」
「いえいえ、え? ちょっと待って……藤堂さんが、え、何ですか? 二人を邪魔しちゃいけないって、え? 二年前のお返しだからって言っておけって、何? 二年前って…………………えええええっ!?」
 佐々木は浩輔が何を考えたのかがわかって、恥ずかしさでカッと頭に血が上り、携帯を切ってしまった。
 でも、藤堂さん、浩輔は河崎の仕事で都合が悪くなったて言うてなかったか? …一体?
「藤堂にはさっき連絡しといた」
 佐々木は沢村を振り返る。
「あと、あんたの事務所の女の子にも」
「はあ? な……んて……??!」
 言葉が見つからないまま、パニクった頭で佐々木は沢村を見つめる。
「いや、あんたは俺のとこにいるから心配しなくていいって」
「名乗ったのか?! ナオちゃんに?」
 呆れてものが言えないとはこのことだ。
「いや、でも、よろしくお願いします、沢村さんって、わかってたみたいだぜ? あの子」
 がっくりと佐々木は大きくため息をついた。
「ああそれと、納会はうまく言っておきますからって伝えてくれって」
「ああ、……そう、納会、あったんや……」
 そんなことさえ忘れるほど、しかもこんな時間になるまで、夢中になってましたなんて、誰に言えるかって!
「おかしいと思ったんだ、あんなとこにマリオンがいきなり現れるなんて」
 悔しそうに沢村が呟いた。
「藤堂のやつ、わざと彼女、呼んだんだ」
「何で………」
 すると沢村はニヤリと笑う。
「まあ……、いいじゃん、これで晴れていちゃいちゃできる…」
 背後からまとわりついてくる沢村の腕を、「うるさい!」と佐々木は跳ね除ける。
「今更恥ずかしがらなくてもいいだろ?」
 性懲りもなく沢村はまた佐々木を抱きしめる。
「……なわけない!!」
「……俺、まだ聞いてない」
 耳元で沢村が囁く。
「あんたのほんとの気持ち」
「……知るか!」
「言ってよ、俺が好きだって」
 また佐々木の心臓が跳ね上がる。
「勝手に言ってろ」
「佐々木さん」
 沢村は佐々木を振り向かせる。
「ちゃんと聞きたい」
 真摯にじっと自分を見つめるその視線を、佐々木はつい逸らさないではいられない。
「…………………………………………………………好きや」
「聞こえないって」
「好きや、言うてるやろ!」
 今度は沢村を睨み付けるように、佐々木は言い放つ。

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村
いつもありがとうございます