Tea Time10

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 ゼミのレジュメはやらなくてはならなかったにせよ、それを理由に幸也を帰したというのが本当のところだろう。
 山から降りてきてみると、何だかあれは本当だったんだろうか、とさえ思ってしまった。
 よくある夏のなんとか、とか、喉もと過ぎればとか、マイナス思考ばかりが頭をよぎる。
 あり得ないと思っていたから、幸也とつきあうこと自体、想定外なのだ。
 そもそも幸也ともあろう男が、何を好き好んで自分を選ぶのかと。
 勝浩が幸也を好きであることと幸也が勝浩を好きになることがイコールであるはずはなかった、少なくとも勝浩の中では。
 はじめはやはり、何か裏があるんじゃないかと思ってしまったし。
 どこかで幸也を信じ切れていない自分がいる。
 はからずも先日、志央に会ったことで、また思い知らされた気がする。
 志央と会ったのは一年ぶりくらいだ。
 城島志央、幸也がずっと何より大切にしてきた存在だ、おそらく。
 勝浩としては会うつもりはなかったのだが、七海と会う用があってそこにおまけのように志央が現れるのだからどうしようもない。
 年一回くらいの割合で志央の毒舌を聞く羽目になる。
 会う早々、勝浩が七海とばかり話をしていたから面白くなかったのだろう。
『七海にモーションかけても無駄だぜ、あいつは俺に夢中だからな』
 七海がトイレに立ったすきに、志央がそんなことを言った。
『城島さんの行い次第では七海を取り戻しますから』
 つい売り言葉に買い言葉で切り返してしまった。
 志央はむっとした表情で勝浩を睨んでいたが。
 七海にも幸也と再会して以降のことは話していない。
 再会しただけじゃないなんてことは無論のこと。
 だが、幸也も勝浩とのことを志央には話していないようだ。
 当然、志央に話す必要もないことなのに、気になってしまう自分が勝浩はいやだ。
 考えあぐねているばかりで明確な答えなぞでてこない。
 志央をあれほど愛していたはずの幸也に心変わりなんかして欲しくなかった。
「生涯かけての片思いでよかったのに」
 なんて口にしたら、七海は勝浩のことをよほど捻くれ者だと言うに違いないが。
 半分は本音、半分は負け惜しみ…………
 本当は会いたくて。
 でもいざ会うと、あまりに度量の小さい自分を幸也に見透かされて愛想をつかされるのじゃないかと怖くなる。
「だからつい、きつい言葉を投げつけちゃうんじゃないか。なのにあの人ってば、ごめん、なんて謝るから、こっちは調子狂うんだよ」
 勝浩に気をつかって大切にしてくれているのだろうと思う。
 思うのだが、らしくない。
「やっぱ、長谷川さん、無理してるんじゃないかな……なあ、そう思わないか? ユウ」
 問われても言葉にできないユウは、ため息をつく勝浩を心配しているかのように、クウンと鳴いた。

 


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