「勝浩じゃん、何でセンセと一緒なんだよ?」
志央は久しぶりも言わないうちから既にジャイアン口調だ。
「何ゆってるの、志央、裕子先生、勝浩さんのお母様じゃない」
「え~~~、ウッソー!」
奈央に言われて志央は本当に驚いた顔をする。
「あなたは大人っぽくなったわね~、ユキちゃんでしょ? 志央ちゃんと一緒によくうちにいらしてた」
にこにこと問いかけられて、しばしこの状況に固まっていた幸也はようやく口を開く。
「ご無沙汰しております。先生はおきれいなままお変わりなくて。でも勝浩くんのお母様とは全然気づきませんでした」
「正確には堺と結婚したのは志央ちゃんがやめてからなのよ。それから割とすぐ、堺の転勤が決まって、こちらに戻ったのは勝っちゃんの中学入学前だったわね」
なるほど、と幸也は合点がいった。
子どもの頃勝浩をいじめていたらしいという記憶がおぼろげなのは、そのあと高校で出くわすまで交流はなかったからだろう。
「まあまあ、挨拶はそのくらいにして、どうぞどうぞお二人ともこちらへ」
二人を席に誘おうとする武人に、「いえ、あの、俺は母を送ってきただけですから」と勝浩は遠慮しようとした。
「なーにゆってるの。陵雲学園高校生徒会OB会でしょうが、ささ、こちらへどうぞ」
勝浩に軽く睨まれながらも、武人は強引に幸也の横の席に勝浩を座らせる。
「お目にかかるのははじめてね、勝浩さん。きっと志央たちがご迷惑かけたんでしょ?」
志央そっくりの奈央ににっこり微笑みかけられて、勝浩は、「ええ、まあ、ほどほどには」と正直に答えた。
「おい、そこは肯定じゃなくて、軽く否定するとこだろ」
「体裁が苦手な性分なので」
早速抗議する志央を勝浩は軽くいなす。
「相変わらずかわいくねーぞ! なあ、幸也。そういやお前ら二人も久しぶりだろ? 卒業以来だから」
並んで座る二人を見ながら、志央が言った。
「あ……いや……」
幸也は答えに躊躇する。
「まあまあ、せっかくこうして陵雲つながりで集まったんだから、乾杯しよーぜ、乾杯。ちょうど飲み頃に冷えてますぜ、ブブクリコ」
黙ったままの勝浩を横目で見やり、勝手知ったる冷蔵庫から取り出してきたボトルを武人が開けた。
七海が立ち上がって、武人を手伝ってみんなのグラスに注ぎ分けた。
「俺、車だから」
「形だけ、形だけ。俺らも車。せっかくのOB会なんだし」
シャンパンを遠慮しようとした勝浩のグラスに、七海は少しだけ注ぐ。
「じゃあ、再会を祝って~」
「タケ、お前だけ部外者じゃん」
茶々を入れる志央を相手にせず、「るさいな、かんぱーい」と武人はグラスを掲げた。
この集まりが、何やらぎこちない幸也と勝浩を何とかしようと武人と七海が策を弄した結果、なのである。
あの頑固な勝浩を動かすにはちょっとやそっとじゃだめだと思いついたのが、今回の撮影を利用した、裕子を誘ってイモヅル式に勝浩を引っ張り出す作戦だった。
懐かしい人に会わせると言って、幸也を誘った。
幸也としては、意味深な武人の物言いに、気になってきてみたらこれだったというわけだ。
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