ACT 6
ヒューが意識を取り戻し、起き上がれるようになった頃、アレクセイはベッカーに呼ばれ、局長室の横にある彼の部屋にいた。
「君は何故、どこまで彼の、ロジァのことを知っているのだ?」
ベッカーは訊ねた。
「知ってる度合いで俺の命を左右するって?」
腕組みをしたまま、ベッカーのデスクに腰をかけたアレクセイは苦笑する。
「君がもし、ロシアのスパイだとしたら、即、ということもあり得ないとも言えない」
「スパイかスパイでないか、拷問でもしてみるか?」
「その必要はあるまい」
「何故?」
それには答えず、ベッカーは続けた。
「ヒューは、以前私が『ブラック』に送り込んだ。ロジァのガードのために、一番若くてそれらしいのを選んだ。別に四六時中ロジァの監視をしているわけじゃない。ただ、『ブラック』の中のロジァにはなかなか近付けない。それに、ヒューも訓練を積んでいることと、万が一の時を除いては、ごく普通の生活をしているだけだ。ロジァが知ったら、怒り狂うだろうが」
「怒るより、人間不振に陥るぜ、普通なら…もっともあいつは充分人間不振だがな」
そんなことだろうとアレクセイもうすうす気づいていたが、少しばかり憤慨していた。
「しかし…他に今回のような事件があると防ぎようがない」
ベッカーは深刻な顔で言った。
「その事件だが、やはりアメリカ空軍がロジァを拉致しようとしたわけか?」
「ヒューを送り込んだのは、以前からそういう動きがあったせいでもある。今回の事件を重く見て、エッシャーは厳重に空軍に抗議した」
アレクセイの問いに、ベッカーは語気をきつくしてた。
「しかし、部下の不始末ってことで、空軍は処理するんだろう? あの連中をスケープゴートにして」
アレクセイは皮肉った。
「今回の事件の首謀格とされたホフナー大佐は、君も知っての通り、かつて彗星βの到来があり、当時レーザーを積んだミサイル誘導システムを造った少年科学者を軍に利用しようと画策していた一人だ」
いきなりベッカーは核心に触れてきた。
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