「業務連絡だよ。さて………」
宇都宮は全く目を覚まそうとしない良太に、毛布をかけてやった。
「また飲み直す?」
「いや、俺も年だからな、やめとくわ」
「やめてよ、年だとか」
「俺と紗英ちゃん、十七くらい違うんだぜ?」
「会話が成立してればいんじゃない?」
「ああ、なるほど………しかし、このドラマみたいなマネ、俺には無理だな~、相手が高校生ってだけでビビる」
すると竹野は笑った。
「こないだつきあった子、それこそ段々会話が成立しなくなっちゃって、俺、ほんと年を感じたもんな」
「ああ、あの子は私とも話あわないと思うよ、でも宇都宮さん、男子はOKなんだ?」
「いやあそれも、やっぱ良太ちゃんだからじゃないの?」
「そっか、だよね~、良太ちゃん、何か存在がいいよね~」
「そうなんだよね~」
部屋を出た二人は、平和に話をしながらそれぞれの部屋に戻って行った。
翌日の東京へ向かう飛行機の中では、良太を真ん中に窓側に竹野、通路側に宇都宮が陣取っていた。
「え、席、向こうじゃ……」
「換わってもらったの」
キョロキョロする良太に竹野がにっこり笑う。
「あ、そうだ、夕べはありがとうございました。俺、寝ちゃうつもりなかったんですけど、部屋に連れてってくださったって」
とりあえず宇都宮に礼と詫びをしなければと良太は頭を下げる。
「何の、良太ちゃん、すごい疲れてたみたいだし」
「すみません、いや俳優さんにそんなこと………」
「でも、あのメンツの中で、良太を運べるのって、宇都宮さんだけでしょ?」
「は、あ………」
竹野に言われて、確かに他の人は良太とそう変わらない体格の人ばかりだと思うのだが、良太は穴があったらというのはこういうことだと思う。
大失態じゃんね。
「そうそう、鍋、いつにする? 俺はこのドラマが終わったら少しはオフなんだけど」
宇都宮が唐突に切り出した。
「え、いや、俺はちょっといろいろとまた難題が………」
「ああ、水波くん関係とか?」
「まあそれもありますが」
水波関連、レッドデータ関連、帰ればわらわらと面倒な事案が待っている。
「鍋ってなあに?」
ボソボソ話していると、竹野が割り込んだ。
「ああ、今度、俺んちで鍋しようって話。炬燵を買ったんだよ。俺、炬燵を囲んで鍋って、憧れててさ。ほんとは良太ちゃんちでやろうって言ってたんだけど、大人数で押しかけたら猫ちゃんびっくりするだろうし」
「それより、俺の部屋にそんな大勢、ムリっすよ」
「宇都宮さんとこでやるの? あたしも入れて!」
宇都宮と良太は竹野を振り返る。
「俺ンとこに紗英ちゃんきたら、またマスコミに写真撮られるかもよ? 熱愛、とか、ドラマで急接近、とかって」
充分ありそうなことを言いながら、宇都宮が笑う。
「何とかスポーツ紙? それいいかも。ドラマの宣伝にもなるよ」
竹野が目を輝かせる。
「面白がってますね? 二人とも」
でもこのドラマで成長したと思うのは本谷だが、竹野も最初の頃の雰囲気から変わったような気がしていたのは、おそらく彼女も成長したのだろう、と良太は思う。
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