肉や魚がいい具合に焼けた頃、ちょうど柳沢から電話があって、今東京に戻って来てるっていうから誘ったんだ、と郁磨は皆に柳沢とそのフィアンセのルビーを紹介した。
坂本はハイテンションで、二人に英語で挨拶を交わし、柳沢に家庭教師をしてもらったことなどをルビーに話した。
柳沢からルビーというフィアンセがニューヨークにいることは聞いていたが、佑人の思い描いていた女性とは違って、さっぱりした雰囲気でTシャツにジーンズの飾り気のないポニーテールがよく似合う明るい女性で、柳沢は画家だと紹介した。
学生時代柳沢がニューヨークに行った際、訪れた画廊で出会ったのだという。
「ヤローばっかで、女といえば力と佑人のママだけってところへ、救世主だな」
スペアリブを齧りながら、甲本がボソリと呟いた。
「フン、残念ながら他人の彼女だ」
意図してお行儀よく、肉をつついていた東山が返す。
「お前、彼女作ったんじゃなかったのかよ。テニスなんかやっちゃってさ」
甲本はわざとらしい言葉で東山を揶揄する。
「るせえな、まだ、このBBQに呼ぶような間柄じゃねぇんだよ! お前こそどうなんだよ」
イラつきながらも、東はアスパラの肉巻きをうまいうまいと齧る。
「合コンなんか絶対顔出してるさ、ただ、何だか知らねえが、女は俺を遠巻きにするんだよな~」
今度は串焼きの肉をがっつきつつ、甲本が黄昏れる。
「けっ、表の甲本が滲み出ちゃってんじゃねえの?」
「だから、そら、いつの時代の話だっつうの!」
「ってか、なんかあそこ、日本じゃなくなってねぇ?」
東が目で示した先には、ルビーを中心に、柳沢と坂本、佑人、郁磨が英語で語らっている。
真野はもくもくと持参したカルパッチョやピザ、などを皿に盛り付け、最後にデザートを大皿に並べ、食べたそうな顔をして立っている啓太に、先にデザートを渡した。
「おい、龍成、てめぇもちょっとは手伝え!」
バンダナを頭に巻いた力は練と一緒に肉や野菜を焼く専門のように、ひたすらコンロの前で熱さと闘いながらトングをひっくり返していた。
「おお、悪い悪い、俺がバトンタッチしよう」
そう言ってエプロンをしながら練の横にたったのは一馬だ。
「あ、すみません、俺、飲み物やってきます」
練はコンロを離れて、グラスや缶ビールなどをトレーに乗せて危なっかし気に配って歩く美月からトレーを受け取った。
「重いから俺、やりますよ。百合江さんも慣れないことはいいですから、お二人とも召し上がっててください」
長い爪でカトラリーを用意しようとしていた百合江にもそう言うと、練はグラスや飲み物を乗せたトレーを慣れた手つきで配り始める。
「あら、ごめんなさい」
「悪いわね」
美月と百合江は顔を見合わせてくすっと笑う。
結局文句を言った力は、えっ、と思いつつも、一馬と並んでトングを動かし続けていた。
「力くんは動物病院でバイトしてるんだったね? いろんな動物を診てるの?」
意外な話題を振られて、力ははたと一瞬考えた。
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