空は遠く139

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 朝から降っていた雨が夕方になると霙に変わっていた。
 一月も終盤に差し掛かると、二年の教室では塾や模試の話題もあちこちで聞かれるようになる。
「ちょっと聞いてください」
 クラス委員の西岡が授業が終わって帰ろうとするクラスメイトに向かって声を張り上げた。
 帰りのショートホームルームは基本的に連絡事項がある場合のみ、担任かクラス委員によって行われることになっているが、七時限目まである水曜はみんなとっとと帰りたいばかりで、しかも雪に変わりそうな空の気配に、教室中からブーブー文句が出る。
「えっと、加藤先生からです。三者面談の希望日について提出していない者は必ず週末までに提出して下さい。また、保護者の印鑑必ずもらってくること」
「げー、うち親いねぇし」
「勝手に親、消すなよ」
「いいじゃん、印鑑なんて」
 西岡の言葉が終わらないうちに、口々に勝手なことを言う。
「それと進路調査票、まだ提出していない者、即刻加藤先生に提出するように。岩村、佐藤、高田、成瀬、野村、東山、山本、以上」
 西岡が教壇から降りると、ガタガタと皆が帰り始める。
「ここ四人みんな一緒?」
 ニカニカ笑う啓太の頭を東山がポカリ。
「嬉しそうにいうんじゃねー」
「ってぇな、だって、俺を入れてくれるガッコさがすのなんか大変なんだぞ? 成瀬も、志望校まだ決まってねぇの?」
 啓太に無邪気な笑顔を向けられると、佑人は何となく無視できない。
「ああ、そうなんだ」
「でも、成瀬、T大行くんじゃねぇの?」

 


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