その夜、食事中に電話を受け取って、しかもその内容に顔を顰めたのは坂本だった。
「何だって? ばれた? 成瀬にか?」
妙な内容だったので、両親の手前坂本は席を立って廊下に出た。
「お前が俺の名前騙ったことが、成瀬にばれたってか?」
「一応、知らせとく」
相手は力で、「ちょっと、こんな時に電話なんかしないでよ。ママが帰ってきちゃう」などという声が混じって聞こえる。
「で、どうすんだよ?」
「知るかよ! くそっ!」
いきなり切れた携帯を思わず坂本は睨みつける。
「クソはこっちだよっ! どうしろってんだよ、俺に!」
どうやらイラついて、憂さを晴らすために力に相手をさせられてに違いない彼女をちょっとばかり気の毒に思ったが、佑人にどう言い訳するかで、しばし思案に暮れた。
勉強もおろそかになるほど佑人への言い訳を考えあぐねた坂本は、翌日登校したら佑人を捕まえて何とかうまく説明しようと意を決してAクラスの教室の外で待ち構えていたにもかかわらず、後ろからやってきた佑人に、おはよう、とごく普通に声をかけられて、出鼻をくじかれた。
「あ、成瀬……」
その背中に呼びかけた頃は既に佑人は教室に入っていた。
クッソ! だいたい何で俺がこんなに頭を悩ませなきゃならねんだよっ!
チラリと中を覗いてみると、東山と啓太が何が可笑しいのかゲラゲラ笑いながら力を小突いたりしている後ろで、いつもと同じようにひっそりと静かに佑人は席に着いている。
間もなく予鈴がなり、仕方なく昼休みに佑人を掴まえることにして、坂本は自分の教室に戻った。
back next top Novels
にほんブログ村
いつもありがとうございます
