空は遠く204

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 理系は男子生徒の方が人数が多く、女子生徒は三分の一しかいないし、既に受験モードが見て取れるタイプの生徒がほとんどだ。
 誰かと親しくなりたいとかそんなことは考えてもいない佑人は、むしろ無視してもらいたいくらいだった。
 ところが待ち構えていたのは、佑人が思いもよらなかった状況、力と東山までが同じクラスとなったことだ。
「成瀬、また一年、よろしくな」
 力が獣医を目指すと聞いた時点で、その可能性も考えてよかったのだが、佑人はまさかの現実に東山に肩を叩かれるまで、呆けたように掲示板を見つめていた。
 好きなジャンルとは関係なく、父親と同じように外交官になると言っていた上谷とはクラスは違うことはわかっていたが、法学部を目指す坂本や啓太も文系でクラスは別れた。
 新一年生との対面式や始業式のあと、三時限目のホームルームでクラス委員を始め各委員を決めることになった。
「みんな受験で余裕がないのがわかっているが、どうだ、少しでも余裕があるやつ、引き受けてくれないか?」
 加藤の視線が佑人の前で止まった時は、ひやりとした。
「俺、いいぜ、やっても。ちょっとは内申、色をつけてくれんだろ?」
 そう申し出たのは後ろの席に座っている佑人の並びにいた、背の高い生徒だ。
「もちろん内申は正確に書いてやるぞ。しかし甲本、お前曲がりなりにも医学部受けるんじゃなかったか? 余裕なんかあるのか?」
「だぁから、うちが医者やってるっつうだけで、受けなくちゃならねんだって。俺が現役で受かるなんて思ってねぇだろ? ま、二年か三年計画?」
「なるほど、一理あるな」
「ちぇ、そこ、納得すんなって」
 静まり返った教室にちょっとした笑いが起こる。

 


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