「よし、甲本が委員長、副は女子で誰かいないか? でないとこのクラス、男どものいいように進行しちまうぞ? 内田、お前、推薦とれそうだろ? どうだ?」
内田と呼ばれた女生徒は前から三列目に座っていた。
「しょうがない、いいですよ、私」
それからくるりと後ろを振り返り、「いいですか? 皆さん」と念を押すように言うはっきりした笑顔は、大きな目が印象的かつ理知的で男たちに好印象を与えるものだった。
他の女生徒が地味目で飾り気がない雰囲気の子が多い中で、内田は決して派手とは言わないが、自信をうかがわせる魅力があった。
こういうタイプの少女を見ると、佑人は真奈のことを思い出してしまう。
自分の可愛さや魅力を知っていて、媚びを売るわけではないが、男は目をそらさずにはいられないだろう。
ましてやそんな子に近寄ってこられれば、舞い上がるに決まっている。
佑人は無意識に力に目をやった。
二年生の終業式以来会っていなかった力は一言もしゃべるわけではないが相変わらずの存在感だ。
力のことはラッキーの検診で訪れる河喜多動物病院で度々そのようすを耳にした。
病院にはよく手伝いに来ているらしい。運よくか悪くか、佑人が行った時は力とでくわすことはなかったが。
そんな風に徐々に顔を合わせる機会も少なくなって、力との妙な縁も終わるのだろうと、そう思い込んでいたのに。
若宮と別れてから新しい彼女ができたのかどうかは知らないが、何となく今度はこの内田が力に接近するのが目に見えるような気がして、そんなくだらないことをグジグジ考えている自分に嫌気がさす。
もうそんなシーンを目の前で見るのは勘弁だったのに。
佑人は密かにため息をついてまた窓の方に目を向けた。
とりあえず出席順に並ぶ今の席は後ろとはいえ窓から少し遠いのが残念だったが、目が悪いという理由で数人が移動したものの、当分はそのままいくことになった。
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