東山が言うとようやく啓太は抱きつくのはやめたが、佑人の学生服の袖をしっかり握りしめている。
何でこういう展開になるんだという状況で、数分後に佑人は引っ付いて離れない啓太や力と一緒に屋上にいた。
「力がいりゃ、他のやつら寄ってこねぇだろ。成瀬はメシあるのか、じゃ、俺、まとめてメシ、買ってくるわ」
そう言い残して東山は教室の前で別れた。
「てめ、ガキじゃあるまいし、いい加減メソメソすんのやめろ!」
佑人にくっついたまま座り込んでいる啓太を力が怒鳴りつけた。
確かに東山の言う通り、今の力の怒号で屋上に先にいた男子生徒が屋内に戻っていくのが見えた。
「何かあったのか? 新しいクラスで」
佑人の優しい言葉に、啓太がやっと口を開いた。
「……俺……ホームルームで……隣のやつに声かけたんだ、俺、バカだけど、よろしくって」
ああ、そういえばそんなこと言っていたなと、佑人はちょうど一年前の春のことを思い出した。
啓太は自分から自己紹介して、近づいてきたのだ。
「そしたら、何もしゃべんないし、俺の方も向いてくんねぇの。んで、前のやつに声かけたけど、そいつも全然振り向きもしなくて……」
また泣きそうな顔をしながら、啓太は続けた。
「でもホームルームだし、静かにしてなきゃなんないからかと思って、休み時間、俺、教科書忘れてきたから、ちょっと見せてくれって、隣のやつに声かけたんだ…………でも、何も答えてくんなくて、そしたら別のやつがそいつに声かけてきて、そいつ笑ってしゃべっててさ…………」
ああ、と佑人はすぐわかった。
そのクラスメイトは啓太をしかとしたのだと。
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