「あったあった。お前らはクラスとかにも興味ない特殊なグループって見られてたし、気が付かなかっただけだろ? 何しろ校内ブラックリストナンバーワンの山本力に学年一番の成瀬、それに問題児の東山に啓太とくれば。とにかく力がいたら誰も何も言わねぇよな」
坂本がさらりと説明する。
「え、俺って問題児?」
啓太が坂本に素朴な疑問を投げかけた。
「お前はどっちかっていうと……」
「落ちこぼれだろ?」
力が坂本の言葉じりを取って笑う。
「何だよぉ、どうせそうだよ。でも、何そのグループ分けとかって?」
「知るかよ! くっだらねぇ」
不機嫌そうに力が言った。
「なあ、坂本、俺、そのグループとか入ってねえからみんな俺に口きかねぇの?」
啓太はまた坂本に向き直る。
「うーん、明確な分け方があるわけじゃねぇし、派閥みてぇなもんだから。いんじゃね? 口ききたくないやつらと無理に話さなくても」
「だって、教室で一人じゃ寂しいよ!」
啓太は今にも泣きそうに喚く。
「誰かはいるだろ、きっと。んな、気にすることねぇって。ちなみに俺は適当に上位ランクのやつらとうまくやってるがな」
「てめぇはそういうやつだぜ、どこでも」
自慢げに話す坂本に、力が吐き捨てるように言う。
「一種のモラトリアムだから、学校とか。そんなこと考えるやつがいるんだよ」
イジメとか無視とかいう言葉がつい思い浮かんで佑人はそう口にした。
これはそういう目にあったやつじゃなきゃ、わからない。
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