二年生になり、この面々と同じクラスになって間もなく、この違和感のあるグループが自然とでき上がっていた。
体育の時間の着替えの折、佑人の身体に時々打ち身のあとなどがあるのを見たらしく、クラスメイトが担任にご注進に及んだのがきっかけで、実際佑人も担任から呼び出され、イジメを受けているのではないかと心配されたこともあった。
そんな事実はないと、佑人はきっぱりと否定したが、どうやらそれは力たちに脅されているせいで本当のことが言えないのだろうと思われているようだった。
勝手にどうとでもとればいい。
投げやりだとはわかっている。
中学を卒業する頃には、佑人は誰にも期待を持たなくなっていた。
誰も信じることをやめた。
友人も教師も、誰も。家族以外には。
佑人にとってそれはひとつの防衛手段だ。
中学時代のあの時のように、あんな風に傷つくのはもうごめんだったから。
だから静かに、なるべく目立たず、口数も少なく。
傍観者の目で見ていると、大概、人が何を考えて動いているのかがわかってくることもある。
「じゃあ、今日は僕がおごるね。昨日、おこづかいもらったばっかだから」
金を出せ、といわれる前に、佑人はみんなのリクエストを聞いて、カウンターの前に並ぶ。
少し笑みさえ浮かべて。
『お金はいくらでもあげる。それで収めることができるのなら、それもひとつの選択肢よ』
決していい方法とは思わないけど、とつけ加えた母親の心配そうな顔が佑人の脳裏に蘇る。
そんな母親や優しい家族に心配をかけるようなことはしないと、佑人は自分に誓っていた。
だから、このグループにいることで担任とかが騒ぐのは勝手だが、親に何か言ったりしないでほしいと、佑人は思っている。
別にこんな連中と友達になりたいなんて、塵ほども思っていない。
けれど、やっぱりあいつの傍にいたい。
そんな思いをどうしようもないのだ。
一年の時、同じ校舎の中で力を見つけたときの驚き。
クラス対抗のバレーの試合では逸る気持ちを抑えられず、いつの間にか心の中で応援していた。
二年になって偶然にも一緒の時間を共有できるようになったことが嬉しくて。
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