空は遠く7

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 公園の小路を半ば過ぎた頃、佑人はキュウキュウという鳴き声を聞いた気がして振り返った。
「…え? なんだろ?」
 耳を澄ましてみるが何も聞こえない。
 首を傾げながら空耳かなとまた歩き出したときだ。
「ほら、飲めよ」
 今度はそんな声と一緒にはっきりキュウキュウいう声がまた聞こえて、佑人は声がした茂みに足を踏み入れた。
「……山本くん?」
 声をかけられた山本力はちょっと驚いた顔で佑人を見た。
「何……してるの?」
「みりゃわかるだろ、こいつらにミルクやってんだよ」
 まさかこんなところで出くわすとは思わなかった。
 恐る恐るたずねた佑人にも、しゃがみこんでいる力が、ダンボール箱の中の仔犬たちのためにパックのササミ肉を与えたり、そのふたに牛乳を注いでいる状況は見て取れた。
 おそらく一ヵ月たつかたたないかという仔犬が三匹、箱の中でキュウキュウないている。
「それ、多分まだ食べるのは無理だよ、小さすぎて」
「そうなのか? じゃ、何食うんだよ」
「えと……離乳食とか」
 仔猫が産まれてから、母が世話していた時のことを思い出し、持っている知識をフルに活用して佑人はそう答えた。
「ちっ! やっぱすぐに連れて帰るしかないな」
「可愛いなあ。この子たち、山本くんの?」
「ばっか、捨てられてたんだよ、この箱ん中に入れられて、ふたまで閉じて!」
 怒りを込めた強い口調に佑人はたじろぐ。
「このままじゃ、死んじまうか、あわよくば見つかっても、保健所とかに連れて行かれるんだぞ!」
「保健所……?」
「それでどうなるか知ってるか、お前」
 佑人はぶんぶんと首を横に振る。
「殺されちまうんだよ!」
 力は断言する。
「殺される?!」
「そうだ。こんな風に、犬とか猫とか捨てる人間どものせいで、一年の内にすんげぇたくさんの犬とか猫とか、殺されるんだ」
 力は宙を睨みつけるように、言い放つ。
「ど…うして?」

 


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