どう見ても同い年には見えないぞ、と内心口惜し紛れに呟いた優作だが、残念ながら将清は同じ学年で、帰国子女でかなり裕福な家で育ったお坊ちゃんで、白金台に豪邸があるらしい、とは周りで騒いでいる女の子たちの情報から嫌でも耳に入った。
将清とはまた別の目立ち方をしていたのが、元気である。
肩より少し長めの綺麗な黒髪は後ろから見ると女の子か、と勘違いしそうだが、優作より背が高い。
振り返ればまた勘違いしそうなくらい綺麗な顔立ちで、これがまた女の子が羨ましくなるくらい小顔で、脚も長い。
それだけならただの綺麗な男だが、これがまたでかくて鋭い目つきの男とつるんでいて、その二人のいでたちは明らかにミュージシャン、またサマになっている。
でかい男はさすがに留年していたようだが、強面ながらも精悍なイケメンで、しかも既にインディーズでは知られた男らしく、この二人の取り巻きもまたすごかった。
とにかく将清にせよ元気にせよ、ちぇ、ちょっと目立つと思いやがって、と心の中で負け惜しみする優作には、世界が違う人種だとしか思えなかったし、彼らとお近づきになろうなどとは当初は思いもよらなかった。
将清が付属校出身だということや、付属校上がりはただエスカレーターで上がってきた大学に遊びに来ているようなお坊ちゃんお嬢ちゃんか、一握りの秀才軍団かどちらかに分かれ、その中間を占めるのが外部入試組だというような噂もあった。
その外部入試組の一人である優作は構えすぎてまだなかなか友達を作ることもできないでいた。
高校時代の優作は生徒会の副会長をやったりしてそれなりに一目置かれていたし、それなりに可愛い彼女だっていたのだ。
だが今、将清や元気たちを前に、優作はそんな自分が霞んで見えた。
こうして広い世界に出てみると、自分などその他大勢でしかないのだと妙に納得できる。
関西に行った彼女には、遠恋はムリと、きっぱり別れを言い渡されたし。
所詮は井の中の蛙ってやつだよな…
期待と希望に燃えて上京したはずの優作だが、鼻づらをいきなりへし折られたような気がした。
ちぇ、別に女にモテるために親に高い金使わせてるわけじゃないし、ダチなんかいなくても一人でやっていける。
電車で一駅のところにアパートを借りていたが、町にも少しずつ慣れ、ルートを色々調べた優作は事務局に許可を得て、春に免許を取ったバイクをようやく活用できるようになった。
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