ひまわり(将清×優作)13

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 車の免許も一緒に取ったのだが、田舎ならまだしも都会では車があったとしても駐車料はバカ高いし、維持費もかかる。
 そこへ行くとバイク駐車OKのアパートを探したので駐車料はほぼゼロ、保険料はかかるが、そのうちバイトでも見つけて自分で何とかしたい。
 明日こそはバイクで通学するぞ、と思い立ったのは、たまたま駐車場を通りがかった時に、慣れた手つきで車を滑り込ませて颯爽と降りる将清に出くわしたからだ。
 しかも国産車ではない、左ハンドルのアウディだ。
 ったく学生の分際で、チャラチャラしやがって。
 なるほど大学に遊びに来ているようなお坊ちゃんってヤツのことか。
 きっと得意げに女の子を乗せるのが目的なんだと優作は思い切り将清を見下すことで溜飲を下げた。
 翌朝、快晴の空の下、優作は大学へと初めてバイクを走らせていた。
 アウディがいくらするか知らないが、このCB400SFだって何十万もするのを、親と姉ちゃんたちが合格祝いに買ってくれたんだ。
 カワサキとかもカッコいいとは思ったけど、やっぱこの感じ、しっくりきて最高だよな。
 キャンパスに近づくと狭い通りに入り、優作は軽快に走らせていたバイクを少し減速した。
 と、その時、いきなり茂みから走り出してきた黒猫に驚いてハンドルを切り損ね、バイクごと見事に転倒した優作は、道路沿いの花壇の一角に身体半分突っ込んでしまった。
「ってぇ……!」
 バイクの下敷きになっている脚がズキズキ痛む。
 顔を上げると、バイクの前を横切った猫が向かいの茂みの前でちょこなんとこちらを見ている。
 このやろ……涼しい顔しやがって…
「おい、大丈夫か!?」
 その時、誰かが駆け寄ってきたと思うと、乗っかっていたバイクがなくなって足が軽くなった。
「あ……悪い……」
「怪我は?」
「平気…ちょっとぶっつけただけで」
「ほんとか? 頭とか?」
「いや…大丈夫」
 顔を上げた優作は自分を覗き込んでいる男の顔を見て驚いた。
 毛利将清だった。
 間近で見ても、端正で精悍な顔がじっと優作を見下ろしていた。
 無論、こっちはフルネームで知っていても、向こうは優作のことなど知らないに違いない。
 将清はぐいと腕を掴んで優作の身体を起こした。
「ならいいけどな、ったく、バイクでカッコつけたいのはわかるが、もちょっと腕磨いてからにしろよな、見ろよ、これ!」
 チャラチャラしている割には親切なやつなのかも、などと思ったところだったが、その一言で優作はカッとして将清を睨みつけた。
「何だと……!?」
 このやろう、自分こそ高そうな車に乗ってチャラチャラしてるだろうと続けようとして、優作ははっとした。

 


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