優作は意味不明な言葉を並べ立てられて、将清を軽く睨む。
「俺の天使はお前だったんだ」
ニヤケてのたまう将清に、意味が分かって優作はそれこそゆでだこのように真っ赤になった。
「何だよ、それ!」
「ミドリにも言った。俺の天使はお前だったんだって」
くっそ、だから、ミドリが俺にあんな怖い顔で見放したら承知しないとか、言ったんだ。
優作はファミレスに呼び出されてミドリに脅されたことを思い出した。
「人がまじめに聞いてれば、お前、よくそんな恥ずかしいこと平気で言えるな!!」
「事実だ! だが俺は天使に一つだけ、懺悔しなくちゃならないことがある」
喚いて講義する優作に、急に神妙な顔で将清は言った。
「言ってみろ!」
「琴子のことな」
「琴子?」
優作は記憶を辿って、当時可愛いとあんな子がいいな、などと思っていた同級生のことを思い出した。
「二股三股かけてたとか、男を手玉に取ってたとか」
将清はしらっとした顔で続けた。
「ああ?」
「ウッソぴょーん!」
将清はニカッと笑う。
「はあ? 何で?!!!!」
優作は身体を起こして、へらへら笑う将清を睨みつけた。
「琴子からお前の目を離すために決まってるだろ」
しれっと口にする将清に、優作はますます顔を赤くして押し黙る。
「琴子は清廉潔白、今時珍しい、しっかりした誠実な女子だった、うん。お前の目は決して節穴じゃない」
「何をいまさら!!!!!」
だが、それこそその頃から将清が優作を意識していたということかと思うと、何も言えなくなる。
「今だからこそだろ。ああ、胸につっかえていたものがすっきり落ちた気がする」
「何が、すっきりだ! 何が!」
優作はパコンと将清の頭をはたく。
「それより、ベッドってか、あれ……あのままでいいのかよ……」
それが気になっていた優作だが、「ああ、ぐっちょぐっちょのシーツ?」などとわざと口にする将清を再びはたく。
「ってぇな、あんなの、ほっとけばいんだよ。ホテルなんかどこでもそうだろ。CSIのキャサリンがホテルに臨場するといっつも、体液まみれだわ、って言ってんじゃん」
悪びれもせずそう言って、恥ずかしさMAXな優作に再度はたかれた将清はへらへら笑いながら、はたいた優作の手を引っ張って、恥ずかしげもなくいやらしいキスをした。
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