「明日はニセコだ。撮影予定は一日だけだから、あとは羽伸ばしていいぞ、みんな」
ワンボックスカーの中で、下柳が言うなり、おおおーーーっとみんなの口から雄たけびが上がる。
「せっかくだから、良太ちゃんも、スキーでもスノボでもやりまくっていけばいい」
「え、はあ」
工藤にも似たようなことを言われた良太だが、大感激の撮影の後は一気に疲れが出て、気乗りのしない返事をする。
「ニセコを最後にしたのは、まあ、遊びなくして何ぞ仕事や、ってなところでだな」
ニヤニヤと下柳が付け加える。
「良太、スノボやろうぜ、スノボ」
若いスタッフも誘ってくる。
「えー、いやあ、スノボかー、挑戦してみっかなー」
良太もとりあえず開き直る。
皆が口々にどのゲレンデがいいの悪いの、ひとしきり話が盛り上がる。
「ヤギさんも、スノボやるの?」
「俺がかぁ? バカ言え、あんな板っ切れの上で腰振りダンスなんかできるか」
髭面が笑う。
「じゃ、スキー?」
「ヤギさんが、んなもんやるかよ。じじむさく、温泉につかって一杯やるくらいが関の山さ」
下柳が答えるより先に、スタッフの一人が明快な答えを披露すると、皆がゲラゲラ笑う。
「俺もそっちのがいーなー、温泉」
良太の発言に、途端、スタッフからブーイングがあがる。
「残念でした。人生そんな甘いもんじゃないのだ。新入りには新入りのオキテがあってだな」
「えーーーー、そんなの俺聞いてませんけどー」
皆の心は、明日の仕事を飛び越えて、既に、遊びの方に飛んでいるようだった。
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